石川遼(28=CASIO)が首位と2打差5位に浮上した。4打差8位スタートから4バーディー、2ボギーの68を出し、通算4アンダーとした。

3季ぶりの復活優勝を飾ったシーズンを、9年ぶりの年間3勝目で締めれば、生涯獲得賞金が史上最速で10億円を突破。113位の世界ランク80位台に上昇するのが確実。来年の東京オリンピック(五輪)出場へ、現実味が出てくる。

最高気温7度。真冬のコースで、石川のプレーの熱が上がった。12番で下り1・5メートルを入れてパーセーブ。「あれが大きかったです」。15番パー3(194ヤード)は、6番アイアンで手前1・5メートルにつけてバーディー。17番パー5(535ヤード)は残り190ヤードの第2打を、同じクラブでピン上5メートルへ。イーグルこそ逃したが、2パットのバーディーで2つスコアを伸ばし、ホールアウトした。

「9番でリーダーボードを見て“みんな、伸びてないな”と思った。ああいう(15番のような)パーで食らいついていって、トップでなくても、いい位置で終えられたら、と思っていました」。首位と2打差は思い通りの好位置だ。

来年は東京五輪イヤー。男子ゴルフは7月30日から、埼玉・霞ケ関CCで行われる。日本男子の代表枠は現実的に2人で、国際ゴルフ連盟(IGF)による来年6月22日時点のオリンピックランクで決まる。そのランクは世界ランクをベースに算出される。現在の日本男子の同ランクは20位松山英樹、次いで34位今平周吾、110位星野陸也、113位石川遼。石川は“遠く離れた4番手”にいる。

「周りからオリンピック、オリンピックと言われるけど、まだ現実味のない位置ですからね。来年の6月までの争いだけど、世界ランクを気にする次元にいないと思っています」。自己最多の年間4勝を挙げた09年11月末に自己最高29位を経験した。3ケタ台はお話にならない位置づけ。しかし、今大会優勝なら、同ランクは80位台まで上昇。代表2枠を巡り“やや遠い3番手”で勝負の年を迎えるとなれば、話は別だ。

秋口の不調を脱し、調子は上向いてきた。「試合自体、とても楽しくできている。楽しく感じるためには、クオリティーの高いショットを打てるかどうかが大事になる」。ドライバーが曲がらず、アイアンがピンに絡めば、今季3勝目に必然的に手が届く。