ラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会を成功させるためには、ボランティアの力も欠かせない。中でも最年長88歳、この道40年の安田十四雄(としお)さんは、経験の浅い人に指導も行いながら「現役」を続ける。98年長野オリンピック(五輪)、02年サッカーW杯でもボランティアに携わったベテランは、20年東京五輪も見据えている。

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W杯は9月に開幕するが、ボランティアの仕事はすでに始まっている。安田さんはベテランらしく、ボランティアに来た人に楽しさを教えることも仕事の1つ。現在は人員配置なども担当し、毎週のようにイベント会場で汗をかいている。「観客に楽しんでもらうのが一番ですが、そのためには我々もしっかり盛り上げることが大事。ボランティアのボランティアですよ」。ボランティア歴40年以上の88歳だからこそ、務められる役割だ。

7年前に妻に先立たれ、現在は1人暮らし。生前の妻からは「道楽でやってるんだから好きにしなさい。仕事ではないんだから無理しないように」と続けることに「許可」をもらい、2人の子どもからは「頑張りなさい」と励まされたという。体は健康で背筋はピンと伸びる。「山登りとかですかね。毎晩楽しくお酒を飲んでいても体形は変わってない。昔から体が丈夫だった。親に感謝ですね」と笑顔を見せた。

ボランティアを始めたきっかけは、社会貢献を行っているYMCAの活動に参加したことだった。「子どもたちと一緒に触れ合って火のおこし方などを教えて楽しさを学んだ」と語る。終戦後、横浜に住んでいたが、57年に、現在でも村民税を払って通っているという長野・白馬村に小屋を建て、趣味の山登りを始めた。その後ノルディックスキー・ジャンプで会場案内などのボランティアを行っていたが、91年に長野五輪開催が決定すると「地元で五輪が行われるなんてこんなうれしいことはない。お世話になった第2の地元白馬に恩返しをしたい」とプレ五輪大会のボランティアに参加した。

98年長野五輪後に、日産スタジアムのボランティアに応募。当時02年サッカーW杯日韓大会の決勝が行われることが決まっており、約700人が集まった。以来20年、魅力を感じながら今も「現役」を続ける。「W杯後に減ってしまいましたが、今も60人くらいは残っていますね」と語る。

ラグビーの試合は17年11月、日産スタジアムで行われた、日本-オーストラリア戦で初めて担当。「ラグビーはお客さんもお酒を飲みながら大騒ぎ。にぎやかだし、大好きになりました」とその後もテレビで見るようになった。

20年東京五輪もボランティアを務める予定。「W杯も五輪も担当できるなんてなかなかない。長生きしたおかげ。本当にありがたい」と感謝した。【松熊洋介】

■若い力もサポート

若いボランティアもW杯を盛り上げる。猪又海咲さん(みさき=19)は、弟がタグラグビーをしていたことで観戦するようになった。「命懸けでやっているので見ていて楽しい。リーチ選手のプレーがかっこいい」。現在スポーツトレーナーを目指し専門学校に通う。ボランティアは実際に近くの高校に研修に行き、やりがいを感じた。「ルールをしっかり覚えたい。困っている人に話し掛けられるようにコミュニケーション能力をもっと上げたい」と熱い思いを語った。

◆ラグビーW杯ボランティア「チームノーサイド」 3万8000人の中から、全国12開催都市で約1万3000人が採用され、今月から研修を行う。募集は締め切られている。観客のサポートだけでなく、会場周辺や最寄り駅、空港での案内、来場者へのサービスや、ゲスト対応なども行う。オリジナルユニホームやキャップなども提供され、着用して活動を行う。

ボランティアを務める猪又海咲さん(撮影・松熊洋介)
ボランティアを務める猪又海咲さん(撮影・松熊洋介)