日本代表フランカー徳永祥尭(よしたか、27=東芝)は兵庫・関西学院高3年時の10年度に、同校史上初となる花園4強入りを果たした。安藤昌宏監督(48)が高く評価するのは、第三者が気付かない場面での仕事。教え子の背中から伝わってくる魅力を明かした。

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安藤の目に、激しく動き回る背番号5が映った。185センチ、100キロの背中は、未知の花園で戦う不安をサッと拭った。10年12月30日、全国高校大会2回戦。Bシード関西学院にとって、初戦突破で勢いに乗る日本航空石川は難敵だった。

先陣を切った徳永の残像を、安藤は忘れない。「ドーンと真正面から、ぶつかっていった。その徳永がいて、周りが続いた。口ではなく、プレーで。徳永がおってくれたから安心した。『すごいな』と思いました」。相手FWは今春の日本代表候補に選出されたロック長谷川峻太、トンガ人留学生のNO8ツポウ・テビタ(ともにパナソニック)を擁した。その相手キーマンに徳永は突き刺さった。

FWで全6トライを奪い、終わってみれば36-10。3回戦で田村熙(サントリー)がSOを務めた国学院栃木を21-15で退けると、準々決勝は国学院久我山(東京第2)に5-0で競り勝った。師は「勝ち上がっていく間『徳永がいるからすごいですね』とは特段言われていない。僕が思うにはそれが『すごさ』。目に見えないところで、彼がやっている」と思い返す。徳永は一見目立たない攻防で先頭に立ち続けた。

オーストラリアへ2年間コーチ留学していた安藤は08年春、入学してきた徳永に出会った。「一番びっくりしたのはおしりの大きさ。いい意味で外国人みたいだった」。1年春から1軍で起用し「指導せんでもできた」と技術面は申し分なかった。部活動指導で大切にするのはマナー、モラル、取り組み方。徳永はプレーで目立つ半面、恥ずかしがり屋な性格から周囲に埋もれようとしていた。スタンスは「“僕は”やっています」。中心選手としての自覚、チームを巻き込んでいく必要性を常々訴えた。

変化が見えたのは2年時、U-17(17歳以下)日本代表に選出されてからだった。安藤は「アカンことはアカン、と他人に言えるようになった」。全国の同世代から刺激を受け、仲間や自らの成長につなげた。卒業後は関学大へ進学し、東芝に入団。7人制では16年リオデジャネイロ・オリンピック代表にも名を連ねた。今も自宅に招くなど交流のある指揮官は「ものをしゃべれるようになった。向こうから(会話の)ボールも投げてくれる」と人間的な成長を喜び「でも、彼の良さは変わらない。高校生にも偉そうにしない。『もう少しあってもいいのに』と思うぐらい」と人柄をたたえる。

同校初のワールドカップ(W杯)戦士を目指す徳永への期待は、あの日の花園で披露した真骨頂に自然と結びつく。「今回W杯に出てくれたら、僕たちも幸せ。あの子は愚直に低い姿勢でプレーできる。外国人のような体で、日本人の特徴を出せるところを見せてほしい」。その背中が持つ力を、安藤は信じている。(敬称略)【松本航】

17年6月17日、ラグビーテストマッチ日本対アイルランド 突進する日本フランカー徳永祥尭
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