4年前、マスターズ水泳の競技大会に出始めました。実は棋士になるきっかけも、もとをただせば水泳だったんです。

大阪市に住んでいた小学5年生の時、近くにできたスイミングクラブに入るか、南海リトルホークスに入って野球をするか、選択を迫られました。当時「野球選手は肩を冷やすから、水泳は禁止」と言われていました。それで水泳ができなくなるのは面白くない。屋内温水プールなら冬でも女性と一緒に泳ぐことができるからと、水泳を選んだんです(笑い)。

そして中学に入り、水泳部の同級生で将棋の強い子がいました。彼に勝ちたい一心で将棋の勉強を始めたんです。私がプロ棋士になり、タイトルまで取れたのは水泳と、同級生たちのおかげです。

5年前に日本将棋連盟の専務理事を降り、時間に余裕ができたので「昔取ったきねづか」で再挑戦し始めました。今年はマスターズ水泳「全国50傑ランキング」400メートル長水路自由形で25位。50傑に名前が載る目標を達成できてうれしいです。

2年後の東京五輪も、もちろん競泳陣に期待しています。日本代表争いからも目が離せません。卓球女子、体操男子などのように、世界でメダルを取るより、日本代表になるのが難しいと言われるくらいに層が厚ければ、メダルは有望。せめて全種目で日本選手がファイナリストになってほしいですね。

「キング・オブ・スイム」と称される400メートル個人メドレーでは、萩野公介と瀬戸大也のワンツーだって考えられる。女性陣だって池江璃花子、大橋悠依らにも期待しています。

将棋界は昨年、14歳の藤井聡太が29連勝を達成し、新たなスターとして現れました。水泳だって、92年のバルセロナ五輪で14歳の岩崎恭子が最年少メダリストになって注目されたように、東京で一気に頂点にまで上り詰めるような若い選手が出てくるかもしれませんね。

五輪の競泳ともなれば、どこにピークを持って行くかや、他国の選手の動き、リレーのメンバー構成などを読まなければいけないでしょう。「読み」を商売にする水泳経験者の私が、知恵を貸しますよ。

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