スピードスケートの新種目、マススタートの女子で、高木菜那(25=日本電産サンキョー)が金メダルを獲得した。

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 高木菜の作戦がズバリとはまった。スタートからオランダのスハウテンを徹底マーク。その後は誰よりも冷静に周回していた。勝負の最終カーブ。ぴたりとマークされた銀メダルの金ボルム(韓国)をブロックしながら、前にいたスハウテンが大きく膨らんだ瞬間を見逃さず、インから差し切った。

 もともと高木菜はカーブワークの技術力が高い。マススタートはインコースのさらに内側の練習レーンを使用する。きついカーブでもスピードを殺すことなく、鋭く回ったことが勝因になった。団体追い抜きは金メダルも、個人種目の5000メートルは最下位12位。個人種目で銀、銅の妹美帆から受けた刺激も金メダルにつながったはずだ。

 前回メダルゼロから金3個を含む6個。メダルは女子だけだが、男子も入賞を2から5と増やすなどレベルアップし、次回大会の復活メダルを視野に入れた。日本は確かに低迷を脱し復活した。(五輪4大会出場、日体大監督)