北朝鮮の三池淵(サムジヨン)管弦楽団を追いかけ、11日に公演が行われたソウルの国立劇場に足を運んだ。公演に反対する群衆が「金正恩を暗殺したら懸賞金1億ドル」と書かれたちらしをまくなど過激なデモを展開した一方、公演を見た19歳女性は「統一はいいこと。時がたてば危険は減る」と語った。正反対の反応に複雑な思いを抱いた。

 翌12日に楽団が京義線・都羅山(トラサン)駅を通って帰国すると知り、現地に向かった。民間人が自力で行ける最も北朝鮮に近い場所として知られる、臨津閣(インジンガク)公園から同駅方面を眺めると、有刺鉄線が巻かれた柵の先に非武装地帯(DMZ)と北朝鮮の山が見えた。日本人の自分には、なかなか理解できない。でも「同じ民族が国を分かち、自由に行き来も出来ない。何て切ないんだろう…」くらい、思ってもいいだろう。【村上幸将】

10日、三池淵管弦楽団ソウル公演に反対する活動家
10日、三池淵管弦楽団ソウル公演に反対する活動家