2月の平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)で右足首のけがから復活を目指すフィギュアスケート男子の羽生結弦(23=ANA)が、約1週間前から氷上での本格的な練習を再開した。16日、日本スケート連盟の小林芳子フィギュア強化部長が明らかにした。回復具合など詳細は伏せられたが、66年ぶりの連覇を狙う五輪に向けて1歩前進だ。同連盟の橋本聖子会長も、全面サポートを約束した。
前を向いて、羽生が滑り始めた。日本連盟の小林フィギュア強化部長は、羽生が練習拠点のカナダのトロントで1月の第2週ごろから本格的な練習を再開したと明かした。本人を焦らせないよう練習内容は伏せたが、12月までの氷に乗って感触を確かめる段階からは前進したという。この日の時点で、2月9日の五輪団体戦まで24日。連覇が懸かる個人戦まで31日。小林強化部長は「集中力のある選手なので、しっかり調整してほしいと思います」と期待を込めた。
昨年11月9日に右足関節外側靱帯(じんたい)損傷のけがを負って以来、2カ月練習から遠ざかった。残り3週間で演技が出来る状態に戻れるか。ここで生きてくるのが経験だ。羽生はこれまで何度も持ち前の集中力と気力でけがを乗り越えてきた。14年11月のグランプリ(GP)シリーズ中国杯の練習で他選手とぶつかり、頭部裂傷などで2~3週間安静と診断されたが、8日後に氷上練習を再開、20日後のNHK杯に出場した。同12月のGPファイナルでは圧勝で2連覇。その年末には腹部の手術を受け、15年1月には歩けないほどの右足首捻挫を負ったが、約1カ月後の世界選手権では銀メダルを獲得した。11日に発表した「平昌五輪に向け、強い気持ちを持って日々過ごしています。これからも努力を重ね、自身を超え続けたいと思います」の言葉通り、勝利を信じて調整を続ける。
そんな羽生に対し、日本連盟の橋本会長も「さらに最高のパフォーマンスができるようにサポートしていかないと」と全面サポートを約束した。羽生結弦の復活へ、少しずつ光が差してきた。【高場泉穂】
<羽生の右足首負傷からこれまでの経緯>
◆17年11月9日 GPNHK杯の公式練習の際に転倒し、右足首を負傷。
◆同10日 右足関節外側靱帯損傷と診断され、NHK杯欠場。
◆同12日、日本連盟を通じ10日間の絶対安静、全治約3~4週間と追加の診察結果を発表。
◆12月10日 「氷上練習は出来ていません。治療とリハビリを頑張っています」と談話を発表。氷上練習を再開していないことが判明。
◆同13日 「通常の捻挫よりも治りが長引く靱帯を損傷していることが分かりました」と談話を発表。
◆同14日 「腱(けん)と骨にも炎症があるため治るスピードが早くはありません」と、回復遅れの理由を追加で発表。
◆同18日 全日本欠場を発表。「治療とリハビリに取り組んでまいりましたが、断念せざるを得なくなりました」とコメント。
◆同25日 平昌五輪代表に決定。
◆18年1月11日 ビッグスポーツ賞に欠席。「平昌五輪に向けて強い気持ちを持って日々過ごしています。これからも努力を重ね、自分を超え続けたいと思います」とコメント。