平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)男子モーグルで日本人初のメダルとなる銅メダルを獲得した原大智(20=日大)の活躍に、地元東京・渋谷が沸いた。東京都出身者では初の冬季五輪のメダルでもあり、原の母校・渋谷区立広尾中では競技から一夜明けた13日、臨時の朝礼で山本茂浩校長が生徒らに活躍を報告。SNSを通じて原から送られてきた「メダルもって行きます!」とのメッセージも紹介した。都会育ちの在校生も、メダリストとなった先輩との再会を楽しみにしている。

 「まさかのメダル。広尾中生として誇らしい」「自分のことのようにうれしかった」。先輩の偉業から一夜明け、後輩たちの目は輝いていた。山本校長は「昨年5月に学校創立70周年記念で講演していただいて以来、たびたび生徒たちと接してきた。渋谷の星、広尾中の誇りです」と、うれしそうに話した。

 中学卒業後、モーグル修行のためにカナダに単身渡った原にとって、広尾中は日本の大事な母校だ。昨年の講演後も、たびたび母校を訪れ、後輩たちと親交を深めてきた。7月には生徒たちが体力づくりのために早朝に校庭を走る「朝ラン」にも参加。一緒に走った生徒たちは「ついていけない速さ」「太ももが自分たちと全然違う。すごかった」と振り返る。

 五輪出場決定直後にも母校に報告に立ち寄った。生徒たちも、先輩のために応援の寄せ書きをした日の丸の旗をプレゼント。原は1位で予選通過すると、山本校長にSNSを通じて試合会場で寄せ書きを広げた写真を送り、決勝に向け「楽しんできます」と記していた。

 山本校長は「講演の時も、緊張したりしなかった。本当に肝の据わった青年だと思います」と称賛。メダル確定後、「渋谷、広尾中の誇りです」とメッセージを送ったところ、13日午前3時過ぎに「誇りになれてうれしいです! メダルもって行きます!」と返信があったという。

 原はこの日の平昌での会見でも「僕は渋谷出身。雪が降ったら交通まひしてしまうような都市部なので、冬季の種目でメダルを取れたのは誇りに思っている」と述べている。生徒たちは「原選手は勇気を出して滑ったと思う。自分もそんな勇気を出して生きていきたい」「原選手の努力を見習って、自分も努力したい」と話した。山本校長は「生徒たちも待っている。また学校にお招きし、お祝いと報告の会を開きたい」と、凱旋(がいせん)を待ちわびていた。【清水優】