高梨沙羅(21=クラレ)が銅メダルを獲得した。

 1回目で103・5メートルを飛び120・3点をマーク。全体3位で臨んだ2回目のジャンプは103・5メートルを飛び、合計243・8点をマークした。2回目のジャンプを終え両手でガッツポーズした。「目標にしていた金メダルには届かなかったんですけれども、最後の最後に、渾身の1番良いジャンプが飛べましたし、何より日本チームのみんなが下で待っていてくれたのがうれしかったです。自分の中でも記憶に残る、競技人生でも糧になる貴重な経験をさせていただきました」と目を潤ませながら話した。

 メダルが確実視されながら4位にとどまったソチから4年。自己最長となる11戦連続未勝利の長いトンネルに突入したままたどりついたリベンジの舞台だった。それでも決して下を向くことなく悪夢を振り払った。

 ジャンプ女子の歴史を背負って戦った。第一人者の山田いずみ(現全日本スキー連盟コーチ)らが大会もない時代から飛び続け、切り開いてきた道。「先輩たちがいたから今の私がいる」と常に話したように、託された高梨らが引き継ぎ同競技が正式採用された14年ソチ五輪に挑んだ。金メダル最有力候補に上げられながら4位。屈辱にまみれた。

 4年間は「同じ失敗を繰り返さない」と、このことだけを頭にジャンプの精度を上げてきた。W杯では男女を通じて史上最多タイの53勝をマークした。強さを誇る一方で15、17年の世界選手権では4位、3位と結果を出せず苦しんだ。大舞台でいかに結果を出すか? 理想のジャンプに向けあせることなく改善点を浮き彫りにし、成長を続けた。今季も五輪まで未勝利だったが、助走路での重心の位置にヒントを得て取り組んできた。「しっかり重心を乗せてから姿勢を作る」。改善点が分かるから不安はない。今季の高梨は笑顔がよく見られたように、精神的にも大人になり、心がぶれることはなかった。