安田舞(18=米子DC)は、最終5本目の失敗でオリンピック(五輪)切符を逃した。上位18人が進出する準決勝で東京五輪が内定する予選。4本目を終えて、圏内ぎりぎりの18位だった。しかし最後の1本で回転が足りずに大きく水しぶきが上がった。28・80点と得点が伸びずに合計239・60点。24位に後退して、東京切符はするりと手から滑り落ちた。

安田は黒いタオルで顔を覆って肩をふるわせた。父の千万樹(ちまき)コーチにそっと肩に手を乗せられても震えは止まらなかった。

「一番は悔しい気持ちが大きい。でも憧れてテレビの向こう側だった試合に出られた。それを自信にして次に向かっていきたい」

2月に練習中に入水に失敗。衝撃を受けた耳の鼓膜が破れた。「あーあ、やっちまったな、と思った」。負傷から2週間はめまいもあって、陸上トレーニングも難しい状況だった。急ピッチで仕上げて、五輪世界最終予選に臨んでいた。最終5本目は調整が間に合わずに、本来の得意種目ではないものを選択していた。「練習からいい感覚ではなかった。順位は気にしないで、やれることをやろうと思った。5本目は3回半の種目をやろうと思っていた。だけどできなくて、ひねりの種目にした。そこは少し悔いが残っています」と振り返っていた。

19年世界選手権9位で五輪に内定している荒井祭里(20=JSS宝塚)は、319・80の5位。5日の準決勝に進出。3日には同じ馬淵コーチ門下生の14歳玉井が劇的に五輪切符をつかんだ。荒井は「ずっと一緒に練習してきた。ひやひやしたけど、最初と最後をしっかり決めてくれた。私も気持ちが上がりました」と笑顔を見せていた。