カシマスタジアムで体験型ホラーイベント「ハイド アンド シーク~殺人鬼の館~鹿島アントラーズエディション」(11月30日まで、月曜定休)が開催されている。

 鹿島担当の“代打”で、このホラーイベントをプレオープンで体験する機会があった。5人1組で、屋敷内を巡回する殺人鬼の目を盗みながら3つの数字を探し、制限時間内に館からの脱出を図る内容だ。

 人気ホラーゲーム「バイオハザード」のシリーズをほぼ“制覇”しホラーゲームには自信があった記者だったが、ゲームと「現実」の世界は大違い。出てくる殺人鬼は映画「13日の金曜日」のジェイソン、「テキサスチェーンソー」の大男のイメージといったところか…。リアルすぎる殺人鬼から逃げるのに追われ、肝心な謎解きもままならず、正解の1割にも届かずゲームオーバーになってしまった。悔しすぎる…。リセットボタンを押したい気分になったが、「現実」だからそうはいかない。

 カシマスタジアムは、06年から鹿島アントラーズが運営を担当している。試合日以外にも地元や観光客が楽しめるよう、健康や美容の場を提供する「カシマウェルネスプラザ」、スタジアムの普段は入れないスペースを見学できる「バックステージツアー」などを開催してきた。そして、今回のホラーイベントである。

 「リアル脱出ゲーム」などの人気体験型イベントは、主に大都市での開催だっただけに、カシマスタジアムでの開催はある意味、画期的だ。01年の改築工事でデッドスペースになっていた「旧ウオーミングアップ場」の有効利用として、クラブ主催で同イベントの実施が決まった。カシマスタジアムの箕輪公成所長(47)は「バイオハザード、ウォーキングデッドとホラーの人気は高い。ホラーの雰囲気を出せるうってつけの場所もスタジアムの中にある。大都市での開催が多い体験型イベントをここで開催することで、若者にも足を運んでいただければ」と期待を寄せる。ちなみに、5月には1日限定の「ゾンビスタジアム」で約3000人を動員している。ホラー需要の風を瞬時に読み、今回のイベント開催に踏み切ったクラブの感度の高さには感服だ。

 これまで、サッカー記者の間でカシマスタジアムの名物といえば、スタジアムグルメだった。特に、ホーム側コンコースに出店されている「鹿島食肉事業協同組合のもつ煮込み」は、もつの柔らかさとボリュームで人気が高い。どんなに長い行列ができていようが、カシマスタジアムに行った際、記者が必ず購入している1品だ。アウェーサポーターは入れない場所に出店されているため、知り合いのアントラーズサポーターに購入をお願いし、仕切りのフェンスの下の隙間を通し「もつ煮込み」を受け取る人もほど。「カシマ=絶品スタジアムグルメ」も根付いているが、今後は「カシマ=ホラーイベント」のイメージも定着していくかもしれない。【岩田千代巳】

 ◆岩田千代巳(いわた・ちよみ)1972年(昭47)、名古屋市生まれ。お茶の水女大卒。95年入社し主に文化社会部で芸能、音楽を担当。静岡支局で13年磐田担当。現在は川崎F、大宮を中心に取材。