【中日入閣】さらばベンちゃん…宮本慎也氏、小島信行記者と最後のクロストーク〈中〉

寂しくなりますね。日刊スポーツ評論家の「ベンちゃん」こと和田一浩氏(50)が、今季から中日の打撃コーチを務めることになりました。評論家としても名コンビだった宮本慎也氏、小島信行記者との掛け合いで、門出へエール? を上中下の3部構成で送ります。後半には「【番外編】和田一浩 涙の訳」も。気の置けない同年代らしい、軽快なクロストークをお楽しみください。

プロ野球

◆和田一浩(わだ・かずひろ)1972年(昭47)6月19日生まれ、岐阜県出身。県岐阜商―東北福祉大―神戸製鋼を経て96年ドラフト4位で西武入団。05年首位打者、最多安打。07年オフにFAで中日移籍。10年MVP、最高出塁率。15年に2000安打を達成して同年引退。ベストナイン6度。通算1968試合、2050安打、319本塁打、1081打点、打率3割3厘。04年アテネ五輪、06年WBC日本代表。現役時代は182センチ、90キロ。右投げ右打ち。

和田「野村さんの本は、5冊ぐらい読みましたよ」

小島前回は和田打撃コーチ就任を祝して、バッティング論や指導法などの話をしていただきました。ただ、バンテリンドームは広い。ホームランバッターは育ちにくいですよね。長距離砲を育てるより、チームバッティングとかを教えた方がいいんじゃないですか? 

和田そこなんですよ。ヤクルトは昔からチームバッティングしますよね。どうやって教えているんですか?

宮本ヒットや長打を打てなくても、チームバッティングならすぐにできると思う人が多いんだよなぁ。でも簡単にできない(苦笑い)。しっかりした技術は、それなりの身体能力がないとできない。ちゃんと練習しないと身に付かない。

例えばノーアウト二塁で、右方向にゴロを打てば、進塁打にはなる。でも相手だって、右方向に打ちにくい球を投げてくる。ボール球を見極める能力や、狙った方向に打つ技術だって必要。

和田知識だけじゃダメなのは分かります。とんでもないボール球を振っているようじゃ、何かしようと思ってもバットに当たりませんからね。ボールを見極めるには、それなりに引きつけて打てる技術とか、スイングスピードが必要ですもんね。

小島密かに和田さんは野村克也さんの本を読んで勉強してるんですよね? 

和田野村さんの本は、5冊ぐらい読みましたよ。現役のときは状況に応じたバッティングとか苦手だった(苦笑い)。でもチームとして得点力を上げるには、そういうのもやっていかないといけないと思ってます。

小島ID野球の一番弟子・宮本さんの専門じゃないですか。

宮本難しく考えてもある程度の時間はかかるから、ベンちゃんみたいなバッターを育てればいいんだよ。そうすればチーム打撃なんかしなくてもいい(ニヤニヤ)。

小島この企画で前にも話してましたが、最強の〝全員ベンちゃん打線〟ですね。それなら自由に打って、打ち勝てます(笑い)。

宮本そうそう、ついに実現するんだよ。いつでもビックイニングを作れる。

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プロを中心とした野球報道が専門。取材歴は30年を超える。現在は主に評論家と向き合う遊軍。
投球や打撃のフォームを分析する企画「解体新書」の構成担当を務める。