中村良二が天理の野球を通じて授けたかった｢苦労の尊さ｣と「三献茶の精神｣／後編

高校野球の名門・天理で指揮を執った中村良二氏(57=大院大監督)が23年12月末で母校の監督を退任しました。春夏の甲子園で2度チームを4強入りに導き、太田椋(オリックス)、達孝太(日本ハム)と2人のドラフト1位選手を育てました。近鉄、阪神でプレーした元プロ指揮官の指導論とは…。前後編でお伝えします。

高校野球2024.02.23 06:00

堀まどか

甲子園に出られなかった時

高校野球の楽しさをたずねた。

｢高校野球が楽しいと思えるのは、自分、チームの結果が出せたとき」と中村は答えた。

その結果とは、甲子園だ。

中村甲子園を目標にしていたとしたら、その目標が達成できなかった時点でたぶん、悔しいんですよ。

目標が達成できたから、今までの苦労が実ったというか、よかった、やってきて…と思える。初めて思える。それが楽しいということに変化すると思う。

甲子園は優勝もあれば、出ることを目指す人もいれば、ベスト8が目標もあったりするじゃないですか。そこを達成できたなら、そのあとに負けたって、よかった、楽しかった、なんですよ。要は目標が達成できたかどうかってことです。

夏の甲子園で初戦を突破しナインとともにあいさつに向かう天理・中村監督（左）=2017年8月13日

ならば、甲子園出場を果たせなかったとき、高校野球は人生の楽しい思い出にならないのか。

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編集委員

堀まどかMadoka Hori

古代の王国トロイを発見したシュリーマンにあこがれ、考古学者を目指して西洋史学科に入学するも、発掘現場の過酷な環境に耐えられないと自主判断し、早々と断念。
似ても似つかない仕事に就き、複数のプロ野球球団、アマ野球、宝塚歌劇団、映画などを担当。
トロイの木馬発見！とまではいかなくても、いくつかの後世に残したい出来事に出会いました。それらを記事として書き残すことで、のちの人々が知ってくれたらありがたいな、と思う毎日です。