【ブルーペナント〈30〉】負けん気全開浜松っ子伊藤洋輝 小5でバロンドール宣言

「ブルーペナント」。

その存在を知っている人はどれほどいるでしょうか。日本代表選手が初めて国際Aマッチに出場した際に「育成年代に特にお世話になった指導者を申告」し、記念となるペナントを作成して贈る日本サッカー協会(JFA)の指導者表彰制度。今回はDF伊藤洋輝(27=バイエルン・ミュンヘン)が小学生の頃にプレーした浜松蒲(かば)サッカースポーツ少年団で指導した磯部聡さん(58)に話を聞きました。今では世界トップレベルのビッグクラブでプレーする伊藤が、どんな小学生時代を過ごしていたのか。少年時代から世界を目指していたという過去を追いました。(敬称略)

サッカー

◆伊藤洋輝(いとう・ひろき)1999年(平11)5月12日、静岡・浜松市生まれ。SANTOS FC SOCCER ACADEEY JAPANでサッカーを始め、小5から浜松蒲サッカースポーツ少年団。ジュビロ磐田U-15からU-18に進み、高3の17年5月に磐田トップチームでプロ契約。名古屋グランパスへの期限付き移籍を経て、21年夏にシュツットガルト(ドイツ)へ移籍。24年夏にバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)へ活躍の場を移した。世代別代表では19年にU-20W杯ポーランド大会に出場し、A代表では22年W杯カタール大会に出場。代表通算24試合1得点。188センチ、84キロ。


◆磯部聡(いそべ・さとる)1968年(昭43)4月23日、静岡・浜松市生まれ。小2で浜松蒲サッカースポーツ少年団でサッカーを始め、浜松市立丸塚中学校では1年先輩の元日本代表FW武田修宏ともプレー。興誠高(現浜松学院興誠)では西部トレセンにも選出された。出身クラブの浜松蒲サッカースポーツ少年団で25歳から指導を始めた。日本サッカー協会(JFA)ユースBライセンス(旧A級U-12)保有。

伊藤洋輝から贈られたブルーペナントを手にする磯部聡さん

伊藤洋輝から贈られたブルーペナントを手にする磯部聡さん

愛息の運動会を見に行き運命的一目惚れ
「息子さんを僕に預けていただけませんか?」

今やBミュンヘンに所属するDFとの最初の出会いは、運命的なものだった。場所は小学校のグラウンド。磯部は息子が参加する運動会を見に行った場で、小1だった伊藤の走りを目にした。「すごく良い走りをするな。背も大きくて、伸びそうだな」。まだ小学校に上がったばかりの少年に目がくぎ付けになった。

伊藤本人や両親と面識があったわけではなく、その場はそう感じただけで終わった。しかし家族で弁当を食べる昼休みに、目の前の席にやってきたのが、大柄の1年生だった。親子で弁当を食べているその場で、磯部は動いた。

「失礼します。蒲でサッカー指導をしている磯部と言います。息子さんを僕に預けていただけませんか?」

いきなりの熱烈オファーに、伊藤の両親は驚いた様子だった。「はっ?という感じで(笑い)。当然ですよね」。当時フットサルスクールに所属していたものの、両親からは「そんなに一生懸命やっているわけではないので」と、その場で断られた。

初めて日本代表に選出された時の伊藤と磯部さん(磯部聡さん提供)

初めて日本代表に選出された時の伊藤と磯部さん(磯部聡さん提供)

3年後ようやくスカウト結実

そこからしばらくは距離を置くことになったが、3年あまりの時を経て、磯部のクラブに加わることになる。小5から活動が始まる「浜松トレセン」に選出されるためには、クラブ推薦が必要だったのだが、当時の所属クラブはトレセンへの推薦を行っておらず、相談を受けたことがきっかけだった。

小4で小6の練習に入れても堂々とプレーしているのを見た磯部は「県トレ(県選抜)まで行くと思いますよ」と伝え、ようやくスカウトが実を結ぶこととなった。

小学生の時点で、身体能力と技術の高さは目を見張るものがあった。特にキック力と精度は小5で30メートルぐらいまでであれば正確に蹴ることができた。8人制ゲームでは、相手GKが少しでも前に出ているのを見るや、ハーフウェーラインあたりからでもロングシュートをたたき込んでいたという。

日本対オランダ 前半、パスを受ける伊藤洋輝(中央)(撮影・足立雅史)

日本対オランダ 前半、パスを受ける伊藤洋輝(中央)(撮影・足立雅史)

「今からDFに固定して将来を制限する必要ない」

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スポーツ

永田淳Jun Nagata

Aichi

1980年(昭55)9月9日、愛知県生まれ。小3でサッカーを始める。法大卒業後、商社、フリーランスのサッカーライター、商社、外資系半導体メーカーでの勤務をへて、23年4月に日刊スポーツ新聞西日本に入社。日本サッカー協会B級ライセンス保有。日本アンプティサッカー協会技術委員長。X(旧ツイッター)は@j_nagata