準決の盛り上がりは復興熊本競輪にふさわしいものだった。それに呼応するかのように迫力あるレースが続いた。嘉永泰斗の失格は残念だったが、ためらわない仕掛けで力は出し切った。地元G1の重圧は知らぬ間に器を大きくする。この大舞台であの仕掛けができるのなら次のタイトルも近いだろう。

熊本12Rを制した松浦悠士(撮影・宮崎幸一)
熊本12Rを制した松浦悠士(撮影・宮崎幸一)

決勝は近畿が4人並ぶ。郡司浩平、犬伏湧也にもラインができ、山口拳矢が単騎となった。本格先行の犬伏に対して、ラインが長い寺崎が積極的に走りそうだ。犬伏にとって松浦の頭脳はあてになる。準決12R、中国両者のプランは関東2車を出させて3番手を取ることだったらしい。しかし、松浦にとって太田の動きは想定外で「結果的に先行になった」と松浦の計算が狂った。4角からの踏み込みが早かったのは「ホームからバックの踏み込みがすごかったのできつかったと思った」ようだ。しかし、後から見ると「判断を誤った」と反省しきりだった。

熊本12Rを制した松浦悠士(右)は、山口幸二氏の取材を受ける(撮影・宮崎幸一)
熊本12Rを制した松浦悠士(右)は、山口幸二氏の取材を受ける(撮影・宮崎幸一)

それでも、昨年の競輪祭前を考えると、目を見張る復調ぶりだ。「低迷したことを振り返って今思うことは?」と聞くと「得るものは何もなかった」と苦笑い。「ただ苦しかった。でも、調子が落ちたときの戻し方とか、無理に勝負したらいけないことが分かった」と言う言葉に重みがあった。

清水裕友と松浦がコンビで活躍し、そこに犬伏が出てきた。彼のパワーはすさまじく、追走やコントロールすることから彼らの第2章が始まった。G1を優勝して名実ともに完全復活を証明する。(日刊スポーツ評論家)