からつボートの「開設64周年記念G1全日本王者決定戦」は明日24日から6日間、熱戦を展開する。グランプリ覇者となった桐生順平を筆頭に、石野貴之、菊地孝平、坪井康晴、田村隆信、毒島誠ら強力な遠征陣が集結。そして迎え撃つ地元勢も峰竜太を筆頭に、深川真二、三井所尊春ら、17年に結果を残した面々がそろいハイレベル。激闘は必至だ。

 17年、絶好調だった峰竜太が地元水面で今年も存在感をアピールする。

 5月福岡のオールスターは、長い間夢だったファン投票1位を達成し出場。そして7月の丸亀オーシャンカップで待望のSG初制覇を成し遂げると、10月平和島のボートレースダービーでも優出4着。年末の住之江グランプリでもファイナリストとなった。「17年は本当に調子が良かった」。1年を通しての大活躍、そして悲願の達成もあり、本人も結果に手応えを感じていた。

 その課程の中で、からつのエースはまたひと回り大きくなっていた。「エンジンが出せているという感じはないですけど、スキルが上がってきました。ターンの技術だったり、レースに臨むメンタルの部分だったり。特にメンタルの部分は大事で。そういうものが充実してきています」。

 ターンの切れ味は今やボート界トップクラスのものとなった。それだけではなく、ここ一番のレースで活躍できる精神力を身につけたことも、結果を残せている大きな要因だ。その証拠に15年10月の平和島一般戦以降、優勝戦1号艇で17連勝中と大事な場面は逃さず優勝を決めている。

 グランプリの大舞台でも精神面の成長を生かせた。選手にとってグランプリ制覇は恋い焦がれる野望の1つ。それは峰にとっても例外ではない。それだけに冷静になることを心がけたという。

 「グランプリも絶対優勝、って気持ちで力むんじゃなくて、もっと体の力を抜いて楽にいく。取りにいって取れているなら僕は絶対賞金王になっているはずです。楽しんでいければ、と思っています。でも1走の大事さは知ってますから、もったいないレースだけはしないようにしたい」

 そういって挑んだ大舞台では優勝戦3着。グランプリ覇者にはあと1歩手が届かなかったものの、ミスが許されない大舞台で安定感のある強さを見せた。力まず持っている能力を発揮することこそが、今の峰にとって大きな力となっている。

 それは地元の水面に帰っても同じことだ。「いつも応援してもらっているので、ファンの方には還元しないといけないなと思ってます」。ファンを大事にする熱い思いを持っているが、あくまで冷静に臨む。

 「からつは特別な感情を抱いていっていましたけど、普通に臨みたいと思ってます。自分の場合、気合を入れていったからといっていい結果につながるわけではないので」。地元の顔として、なすべきことを果たすために水面へ向かう。

 今年もからつの正月戦、続く宮島の一般戦も優勝。上々に滑り出しを見せ、今年も期待が高まる。しかしあくまで本人は冷静だ。

 「前節活躍できたからといって次の節がいい状態でいけるとは思ってないです。エンジンも違うわけですしね。でも結果が残せていることは自信になります」。好調でも浮かれて隙を見せるようなことはない。次は地元周年初制覇という夢に向かって突き進む。

 ◆峰竜太(みね・りゅうた)1985年(昭60)3月30日、佐賀県生まれ。95期生として04年11月からつでデビュー。17年7月の丸亀オーシャンカップでSG初優勝。通算G1優勝は6回。同期に山田哲也、岡村仁、海野康志郎らがいる。172センチ、50キロ。血液型B。