中村桃佳(25=香川)がG2初制覇を果たした。インからコンマ12のトップスタート。同県の大先輩、山川美由紀の差しを振り切った。2着は藤崎小百合、3着は山川だった。中村は優勝賞金400万円を加算し、女子賞金ランクトップに浮上。レディースオールスターは、第1回大会の山川に続き、香川勢の連覇となった。

 ゴールの瞬間、ガッツポーズはなかった。2Mを回って勝利を確信したが、何が起こるか分からない。無我夢中で最後まで走った。ピットに引き揚げると、同県の西村美智子はバンザイのポーズ、平高奈菜も穏やかな笑顔で出迎えた。ヘルメットの奥の中村桃佳からようやく笑みがこぼれた。

 最終日は向かい風から追い風に変わるコンディション。うねりもあり難しい水面だったが、全速のトップスタート。速攻派の面目躍如だ。しかし1Mは舟がわずかに跳ねた。山川美由紀が鋭く差し迫ったが、パワーで振り切り香川対決を制した。「エンジンのおかげで勝てた」。会見では、ホッとした表情を見せた。

 アクシデントを乗り越えた。初日、ドリーム戦前に試運転で転覆。DRは6着大敗。暗雲がたれこめたが、2日目1Rでイン快勝。「逃げてホッとした部分もあった。ただ、バックでかぶるのが怖かった。ファンのことを考えたら、こんなんじゃ駄目だと」。気持ちを入れ直し、そこから3連勝をマークした。

 電気交換などによる機力アップはあったが、メンタルの強さこそが最大の勝因だ。3歳の頃から始めた少林寺拳法では、高校時代に香川県1位。心を鍛えた中村の原点だ。

 女子賞金ランクはトップに浮上。「今節しっかり稼げた(笑い)。年末の12人に入りたい。A1になって、G1、SGに出場し続ける選手になりたい」。ニューヒロインの前途は限りなく明るい。【網 孝広】