正智深谷(埼玉)が「神ってる」大逆転で勝利した。前半10分に先制され、26分にはMF谷口がレッドカードで退場する苦しい展開。それでも後半39分から4分間でひっくり返した。右のCKから続いたゴール前の混戦をDF金子が右足で押し込んで追いつくと、ロスタイム3分にPKを獲得。MF小山主将が右に決めた。小島監督は「震えた。夢じゃないか」と興奮状態だった。

 決勝弾の小山主将は、谷口とダブルボランチを組む。泣きながらピッチを去る1学年下の相棒の背中を見て、心が燃えた。ハーフタイム、ロッカー室で涙する谷口に「大丈夫、逆転してくる」と声をかけ、有言実行。試合後、号泣する谷口に飛びつかれた。

 ちょうど1年前の1月2日、前回大会2回戦で明徳義塾(高知)に同じ駒場で敗れた。小山はその夜、主将に立候補した。「このままじゃダメだと思ったので」。1年時はチーム内に複数のグループができ、仲が悪かった。周囲の意見を尊重する小山を中心に、結束の輪が広まった。試合前には「なんだかんだ、お前が主将でよかった」と仲間から感謝された。前半に失点は前回と同じ流れだったが、今回は逆転。チーム初の16強進出に主将は「まだまだ上にいきたい」とさわやかに笑った。【岡崎悠利】