連日、気温35度前後の暑い夏が続いている。酷暑ともいえる気候の中、20年東京オリンピック(五輪)ゴルフ競技の会場となる埼玉・霞ケ関CCで1年後の五輪を見据えた「リハーサル」が行われる。

14日から3日間にわたって開催される日本ジュニア選手権がテストイベントの舞台だ。中・高校生のプレーに合わせ、本番さながらのシステムが稼働する。全選手の成績の集計、スコア速報をリアルタイムで追っていく。五輪本番は男子が来年7月30日~8月2日、女子は8月5日~8日に設定されており、日程の誤差は1~2週間程度。ほぼ真夏の同時期に開催することで、五輪仕様のシステムが高温に耐えうるか、などをチェックするという。

高温対策はシステムだけに限らない。選手のプレーを追うスコアラー、大会期間中、毎日1万人近くが集まるとされるギャラリーにも必要だろう。今年2月、報道陣を集めた五輪用新コースお披露目のメディアデーの際、組織委員会は「暑さは大きな問題の1つ。今、検討しており、ゴルフは注意しなくてはならない競技。6月ぐらいまでに対策をまとめ、この夏のテストイベントを通じて検証したい」と説明しており、どのような準備を整えてきたかも注目点となる。

AIG全英女子オープン(英ウォーバンGC)で日本女子勢42年ぶりとなるメジャー制覇を果たした渋野日向子(20=RSK山陽放送)が「東京五輪で金メダル」を目標の1つに掲げ、さらに大きな注目を集めることになったゴルフ競技。霞ケ関CCはAIG全英女子オープンと似た林間コースではあるものの、気候はまったく違う。涼しい英国に比べ、日本は相当暑い。もともと8月の国内女子ツアーは北海道、軽井沢、箱根と日本で比較的涼しい地域で開催される。「地の利」があるはずの日本勢のライバルは海外勢ではなく、猛暑になる可能性は十分、ありそうだ。

五輪ゴルフ競技そのものの成功、日本勢のメダル獲得は、いずれも暑さの“攻略”にかかっているとも考えられる。今回の日本ジュニア選手権でのテストイベントの成果、そして実際に同じ時期に同じコースをプレーする中・高校生の暑さ対策にヒントが隠されているかもしれない。【藤中栄二】

(ニッカンスポーツ・コム/ゴルフコラム「ピッチマーク」)

霞ケ関CCの名物ホール10番パー3。グリーン手前に深いバンカーがある
霞ケ関CCの名物ホール10番パー3。グリーン手前に深いバンカーがある