何げなく見ていた資料に驚かされた。男女を通じて今年最後のメジャー、AIG全英女子オープンが19日、英カーヌスティ・リンクスで開幕。これに先立ち、報道陣は「メディアガイド」という、大会資料を閲覧できる。メジャー昇格は01年からだが、大会は1976年に第1回が開催され、今年で45回目と歴史は浅くない。メディアガイドには、過去44大会の歴代女王の当時の写真とともに、各大会の上位成績が記載されている。第8回、84年大会の優勝は岡本綾子。成績を見ると、岡本は2位に11打差というダントツの優勝を飾っていた。
当時を知るゴルフファンにとっては「常識」なのかもしれない。岡本はメジャー優勝こそないが、米ツアーで賞金女王にも輝いたことがあることは知っていても、優勝した各大会の詳細までは知らない人も多いと思う。私もそうだ。それが、この成績を見ただけで、爆発力のすごさが分かる。しかもパー73で、最終ラウンドは77とたたいていながら、通算3アンダー、289。最終的に2位となった2選手が通算8オーバー、300という中、第3ラウンドまで全てアンダーパーで回っていた。あまりの大差に、一瞬、誤植かと思ってしまうほどだった。
調べてみると11打差は、全英女子オープン史上最も2位との差が大きい優勝だった。さらに4日間通算289は、大会記録を5打も更新する、当時の歴代最少スコアだった。
また、歴代2番目の大差優勝は2012年で、現在は日本ツアーで活躍する申ジエ(韓国)が達成したものだった。2位に9打差をつけていた。表面的に実績を知っているつもりでも、各大会の最終成績を見ただけで、強烈に印象に残る。
メディアガイド内の、過去44大会を紹介する19年のページは、トロフィーを手に笑顔の写真の渋野日向子が主役だ。樋口久子以来、日本人42年ぶり2人目のメジャー制覇の快挙だった。他にも19年の賞金総額450万ドルは、岡本が優勝した84年の20万ドルの22・5倍だったことなども、メディアガイドから分かる。貨幣価値が異なるため、一概に比較はできないが、賞金総額だけをとっても、規模が大きくなっていった、大会の歴史の一端を感じられる。
歴史と伝統、権威のあるメジャー。メジャーの良いところの一つは、このような資料を残し、歴代優勝者に敬意を表していることなのかもしれない。それらが生み出す雰囲気が、いつの時代もプロゴルファーのあこがれ、夢となる。そんな夢を追って、今年は日本勢7人が挑戦。大会3人目の日本人女王が、今年誕生するのか注目される。【高田文太】(ニッカンスポーツ・コム/ゴルフコラム「ピッチマーク」)


