梶谷翼(岡山・山陽女子中1年)が、2連覇を成し遂げるとともに、7-8歳男子を逆転で制した弟の駿(岡山・総社東小3年)と、日本選手では初の「姉弟同時優勝」を成し遂げた。

 首位スチクト(米国)に1打差でスタートした梶谷は、前半で3つのバーディーを奪って通算8アンダーにスコアを伸ばして早くも逆転。そのまま逃げ切るかに見えたが、思わぬ展開に。12番パー3で第1打がバンカーの目玉になり、2打目で出ず今度はバンカーのアゴにささって、3打目でやっと脱出。ダブルボギーにした。

 13番パー5では奥3メートルに2オンしたがバーディー止まりで、アウトで2つスコアを落としていた同組のスチクト、チャン(香港)もバーディーと息を吹き返した。目の前の敵はいいが、前の組のウ(台湾)がバーディーをと取っていることが気になる。15番で奥8メートルから3パットのボギーにして「たぶん差は1打しかない」と考えていた。

 勝負強さはここから。16番パー3で下から10メートル以上あるロングパットを入れた。17番では「狙いってはいなかった」という右の林越え方向に飛んだ第1打が木に当たって前に出たのが幸運だった。池の手前にレイアップし、第3打でピン左下2メートルにつけ、連続バーディー。通算8アンダーでホールアウトしたが、前の組が分からず、優勝の喜び表現はなし。掲示板にウのスコアが記入され、2打差で勝ったのを知って、ようやく笑顔がのぞいた。

 年齢カテゴリーがあるこの大会が、梶谷にとってはプレッシャーだった。今年は女子ツアーにも2試合参戦。6月の日本女子アマでは12歳で一時は優勝争いに顔を出し、6位に食い込む大健闘で話題になった。「絶対に負けられない。ここで負けたら、上では勝てないから」と、自分に「優勝」を課した。また、9-10歳の部で負けた1つ年下のパノ(米国)が同じカテゴリーに上がってきた。「パノにリベンジする」という意識もあったという。連覇を決めた気分は「ホッとした」だった。

 この日は弟の駿も優勝争いをしていた。「3打差あるし、朝はふざけていたし、応援する気も起きない」と厳しかったが、表彰式後にすぐ近くの7-8歳の部の会場へ。移動中に駿の逆転優勝を知り「せっかく自慢してやろうと思っていたのに」と口では言うものの、顔は笑っていた。

 駿はこの日、9番でイーグルを奪うなど2アンダーで回り、通算4アンダーで逆転優勝。もらったトロフィーは姉と同じ大きさに喜び、「スコアカード出したときに1位だっていわれた。優勝せんと、もうここにつれてきてもらえないから頑張った」と、胸を張った。

 一昨年も2人で優勝寸前までいったが、ともに2位。3年越しで家族の夢がかなった。2人で同じカップを抱いて記念写真に納まった。梶谷は「プロの大会で今までマンデーは通るけど本戦で予選落ちだったんで、これからは決勝ラウンドに行くのを目標にしたい」と、次のステップアップを目指す。