7月のプロテストに合格した勝みなみ(19=フリー)が、涙の“プロ初優勝”を飾った。1イーグル、4バーディー、1ボギーの67で回り、通算8アンダーの208で逆転V。15歳293日というツアー史上最年少優勝記録樹立から3年余り。91年に始まった下部ステップアップツアー通算200試合という節目で、新たな1歩を踏み出した。

 うれし涙には、勝にしか分からない苦しみが込められていた。「ずっと苦しかった。自分の思ったプレーができず、優勝できるようなショットでもないし、体づくりもできてないのに、結果だけを求めて自分にプレッシャーをかけて…優勝できない自分に腹が立ったし、情けないとも思った」。アマ2勝目の重圧に心をすり減らしてきた。

 3打差5位から1番パー5でいきなりのイーグル。7番でチップインバーディーも決めた。「いけるかな」と思った直後、8番のボギーでむしろ冷静になれた。「最後まで自分を見つめてプレーできた」と話す。

 母久美さん(50)はキャディーではなく、コースへの送迎やプレー中にコインランドリーへ走って洗濯するなど後方支援。前日は、肝心の洗濯物をホテルに忘れて取りに戻る一幕もあったというが、ほほ笑ましいハプニングも娘の心を和ませた。「アマチュアの時には『優勝しかない』という思いが強くて、自分で自分を金縛りにかけていたようなところがありました。今は、すごく楽しそうにプレーしています」と目を細める。

 優勝賞金360万円は勝が「貯金します」と笑ったのに対し、母は「たぶん経費に消えるかな」。現時点でレギュラーツアーは9月のミヤギテレビ杯ダンロップ女子の推薦出場が見込まれている。