片山晋呉(44=イーグルポイントGC)が、国内マッチプレー最年長王者に輝いた。決勝でH・W・リュー(35=韓国)を3アンド2で撃破。1回戦から計129ホールを戦い抜き、今季初優勝でツアー通算31勝目を挙げた。44歳7カ月10日での優勝は、ツアー競技のマッチプレー大会では77年日本プロマッチプレー選手権を制した橘田規の43歳25日を上回る最年長V。スイング、パット、メンタルトレーニングからSNSの扱いに至るまで、常に新しい自分を求める永久シード選手。6度目の賞金王も狙える位置まで上がってきた。

 片山が自ら切り出した。「この年で、と言うとおかしいですけど、一番確率の低い試合で勝てた。競技時間は長いし、回復力のある若い人が有利なのは間違いないから」。この日は普段なら必要ないスタート前のケアをトレーナーにお願いしなければならないほどだったが、今年に入ってから4度もコースを訪れて練習した入念な準備も実った。

 日大の先輩、米山剛(52)のもとへ出向いてヒントをもらい、再投入した長尺パターはタッチが抜群。「3パットしそうなのが1度もなかった。相手は嫌だったと思います」と胸を張る。ショット面でも進化。「打ち方を変えて、ドライバーもすごく飛ぶようになった。クラブもボールも進化して、この5年でゴルフのスイング(理論)は100年の歴史が覆されるくらい変わってきている。その流行を取り入れないとと思って」。最後の16番は209ヤードから5番ユーティリティーでピンそばに2オンし、完璧なイーグルで締めた。

 「新しい自分が見つけられるんじゃないか」。試合が少ない夏場は貴重な出会いの連続だった。引き出しになかった技術を知り「まだ伸びしろはある」と前向きになれた。頻繁に見られた胸に拳を当てるしぐさは、取り入れて間もないメンタルトレーニングの一環。SNSによる情報発信がゴルフ界に足りていないと言われ、インスタグラムでファンとの交流にも一層熱が入っている。表彰式直前や優勝会見の様子までスマートフォンで“中継”した。

 70位だった賞金ランクは4位まで浮上した。もともと08年日本オープンからの7勝は全て9月以降。本領を発揮し始める時期でもある。手応えを問われ「はい」と力強くうなずき、続けた。「勝ちますね。勝てると思います。予想より早く、やろうとしていることがかみ合ってきた。円熟した、いいプレーができる期待が自分にある」。自信たっぷりに賞金王争いへ加わってきた。【亀山泰宏】

 ◆片山晋呉の使用クラブ ▼1W=オノフ クロ(シャフト=グラファイトデザイン ツアーAD TP-6 長さ46インチ、硬さX、ロフト10・5度)▼3、5、7W=同 クロ(15、18、21度)▼4、5、6UT=同 クロ(24、27、30度)▼アイアン 同 フォージド クロ(7~9I、46度ウエッジ)▼ウエッジ=フォーティーン RM(52、58度)▼パター=テーラーメイド スパイダー AGSI+▼ボール=ダンロップ スリクソンZスターXV