小平智(28=Admiral)が8バーディー、1ボギーの65で回り、通算18アンダーの270で自身初のシーズン2勝目、ツアー通算6勝目を逆転で飾った。

 元賞金女王の古閑美保(35)は3月の結婚後、初めてコースで優勝を見届けた。「今日のゴルフだけ見ると圧巻でしたね」と小平のショット力に舌を巻いたが、序盤は少しだけ心配もしていた。スタート直前のパット練習に向かう頃には珍しく話し掛けづらいほど入れ込んでいるのが伝わってきた。「いつもは『美保~』って向こうから言ってくるくらいなのに(笑い)」。1番でナイスパーを拾い、6番パー5ではグリーンエッジからこぼれた第2打が池ポチャ寸前のラフで止まり、冷や汗をかいた。その6番をバーディーとし、続く7番のパー3でティーショットがピンに絡んだ時「あっ、これは大丈夫だな」と思ったという。

 自らもかつて何度もロープ内で経験した優勝争いの重圧。「(小平の)親じゃないんですけど、親の気持ちが初めて分かりました」と笑い、続けた。「自分でできないですからね。昔は(今の自分と同じように)親が『入ってー』って(ロープの外から)お願いしてても『お願いなんてされたって(プレーを)やってるのは私だから』くらいに言ってしまっていたんです。でも、本当に祈ることしかできないですもんね」。

 ショットがフェアウエーを捉えるたび、ピンに絡むたび、パットがカップに沈むたび、ひときわ大きな声援を送る。「それがプレッシャーになってしまう人もいるけど、彼は(声援を)力に変えられる人。チームというのをすごく大事にするし、盛り上がることが好きな人。シャイで照れ屋ですけど、気持ちが入った時に周りが持ち上げれば、ドンドン力を発揮するから」。小平も「うれしいですよ。見えないところでも声援があると(ショットが)寄ったんだなって分かるし、『ナイス』と言ってもらえると気持ちが楽になる」と感謝を口にしている。

 「ゴルフの話をするとケンカになる」という2人。最終ラウンド前日は珍しくバンカーショットについて小平から質問を受けたが「教えるというか『私はこうしてたよ』って。あんまりしつこく言うと、ケンカになるから(笑い)。『私がこうしていた』っていうのが、ちょっとしたヒントになったりすることがあるかもしれませんね」と話す。。

 知り合った時から海外志向が強いことは聞いていた。目下のターゲットは年末の世界ランク50位入りによるマスターズ切符獲得だ。「やっぱり行くしかないですよね、頂点までね。やっぱり彼の武器はドライバー。他の人が3アイアンとかで(刻んで)打たなきゃいけないところで、彼はちゅうちょなく振っていける。そして、彼のゴルフには伸びしろがたくさんある。それは本人も見えているので、私からは言わないですよ」。夫の夢を支えるため、これからもロープの外から声をからすつもりだ。