今季2勝の鈴木愛(23=セールスフォース)がプロ5年目で初の賞金女王に輝いた。通算2アンダーの13位で出るとボギーなし、3バーディーの69で回り、通算5アンダー283で日本人トップタイの7位。13年の森田理香子以来4年ぶりとなる日本人賞金女王の称号を獲得した。メルセデス最優秀選手賞も獲得し、2冠も達成。テレサ・ルー(30=台湾)が通算15アンダーで今季4勝目、ツアー通算16勝目を挙げた。

 ラストパットは強気に攻めきった。最終18番で約5メートルのパーパット。鈴木は「パーであがりたい気持ちが強かった」。小畑キャディーに「ボギーでもいい」と助言されても、カップだけを見据えた。強めのパットは見事カップイン。初の賞金女王が確定し、安堵(あんど)の笑みを浮かべた。

 「9月ぐらいからずっとプレッシャーを感じていたので解放される。ゆっくり休めそうです」

 重圧で心身の歯車が狂った。バーディーゼロだった第2日夜は不眠に陥った。第3日夜には、スマホで「集中力の上がる食物」を検索。ヒットしたチョコを口にした。「緊張もなく、すごく良いラウンドになりました」。メルセデス最優秀選手賞も獲得し「狙っていた。良い締めくくりになりました」。4年ぶりの日本人賞金女王に輝き「日本ツアーはやはり日本人が活躍しないと駄目だと思っていた。強い韓国の人に、練習量だけは負けないようにと思ってやっていた」と、自信に満ちたオーラを放った。

 賞金ランク2位だった7月。センチュリー21レディースで、元賞金女王の岡本綾子から「せっかくのチャンス。(賞金女王を)狙いなさい」と背中を押された。開幕前になかった目標は「その一言でその気に」と狙いはじめた。5月ごろから左ひざを痛め、練習量を減らしたが「自分の実力が引き出せない」と2時間近くの居残り練習など通常メニューを復活させた。

 ツアー帯同する母美江さんや姉志歩さんに何度も励まされてつかんだ女王の座。「母とお姉ちゃんの存在はすごく大きい」と感謝した。宮里藍が引退した17年、新しい「AI」鈴木愛が女子ゴルフ界をけん引する。【藤中栄二】

 ◆鈴木愛(すずき・あい)1994年(平6)5月9日、徳島・三好郡東みよし町生まれ。11歳で競技開始。鳥取・倉吉北高ではJGAナショナルチーム育成選手。13年プロテスト合格。14年の日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯で初優勝。ツアー通算5勝。家族は両親と姉、妹、弟。155センチ、58キロ。血液型B。