男子ゴルフの石川遼(26=CASIO)が来季は日本ツアーに軸足を置いて戦うことを明言した。

 国内を主戦場とするのは12年以来6季ぶりとなる。

 5日に千葉県内で開催されたプライベートコンペで「日本ツアーは全試合に出たい」と話した。11月に今季最終戦のカシオ・ワールドオープンで2位となった時には、来年1月から米下部ウェブドットコムツアーに参戦し、国内ツアーが本格化する4月以降は日米を往復しながら戦うプランを示していたが「4月からは日本中心に出たい。アメリカと日本を行ったり来たりだと、両方とも中途半端になってしまうことが嫌。腰を据えてやっていきたい」と説明した。

 米ツアーメンバーとして戦ってきた直近5年間を「現実として通用しなかった」と受け止めている。「日本では他の選手を見て、技を盗んでやろうと思うことはあったけど、うらやましいと思った経験は1度もなかった。アメリカでの5年間は、そういう経験がすごく多くて。『技を盗んでやろう』ではなく『いいなー』と思って指をくわえて見ているような感覚」。歯がゆさを隠そうともせず振り返る。

 カットライン付近をさまよう試合が増え、1打も落としたくないという後ろ向きな気持ちから守りに入る。目先の結果に一喜一憂してスイングに悪影響を及ぼし、ゴルフをすることに息苦しさに近い感覚すら覚えていたという。「結果にとらわれ、しがみついてきた自分の責任。そのサイクルを転換したい」と言った。

 10月の日本復帰後、スイング改造に踏み切ったこともあり、国内自己ワーストの5週連続予選落ちも経験した。「(プロ)10年間で1度もなかったことが今年起きた。じゃあ、ゴルフ人生の中で今が一番下手かと言われたら、そうじゃないと思っている」と積み重ねてきたことを否定するつもりはない。「カットライン付近の1打のせめぎ合いの中で我慢のパーを重ねられるようになったり、いろんなコースをプレーしてきて、今のショットが世界で通用するのか、ある程度参考にできる物差しが自分の中にある違いは大きい」。戦う場所は変わっても、目線は変えない。

 18年初戦は1月の日本とアジアツアー共催、SMBCシンガポール・オープンとなる見込み。翌週のレオパレス21ミャンマー・オープンも出場を視野に入れる。日本ツアーの試合がない2月から3月にかけては「スイングの状態を見て(日程を決めたい)」とし、その期間で米下部にスポット参戦することも考えているという。「次の5年で、もう1度、アメリカで通用する力を身につけたい。PGAツアーに戻る時には(松山)英樹のように勝つか負けるか、という力をつけて戻りたい」。ある意味で退路を断った形ということは理解している。「(日本で)出るだけではダメ。結果は残します」と付け加えた。