崔虎星(チェ・ホソン、45=韓国)が5バーディー、ノーボギーの67で回り、通算15アンダーの273で逃げ切って13年以来となるツアー通算2勝目を挙げた。「フィッシャーマンズ(釣り人)スイング」と称される変則スイングで海外のトッププロからも注目を集める“虎さん”が、久々の歓喜に浸った。石川遼(27)は3アンダーの40位となり、最終戦の日本シリーズJT杯(29日開幕、東京よみうりCC)に最後の1枠で滑り込んだ。

30センチのウイニングパットを沈めた時、崔は優勝を決めたと分かっていなかった。「ゲッ!」。代名詞の派手なアクションと雄たけびは、やや遅れてスコア提出に向かう途中で繰り出した。前夜は3度も目が覚めるほど気持ちが高ぶっていた。2番で15メートルのパーパットを決め、落ち着きを取り戻す。「『オレはできる』と言い聞かせた。全てうまくいった」と胸を張った。

フォロースルーで右足をはね上げて回転するオンリーワンのスイングは「スイングアークを大きくして、回転力をボールに伝えて飛ばすため」。コミカルな動きと裏腹に真顔で狙いを語る。6月にアジアツアーで首位に立つと、SNSで動画が拡散。元世界ランク1位ジャスティン・トーマス(米国)が「練習場でマネしようかな」とコメントするなど、大きな反響は「パソコンも使わない」アナログな本人の耳にも届いた。

20歳の時、水産加工工場でマグロの解体作業中に右手親指の一部を切り落とす事故に遭った。「おなかの肉を移植した」右手親指は左手より少し短い。友人たちのように兵役に就けず「人生をさまよった」。職を転々とし「3食宿付きに魅力を感じて」ゴルフ場で働き始めたのが25歳。見よう見まねでクラブを握り、独学で腕を磨いた。「始めるのが遅かった分、スイングに合う体の柔らかさを持っていない」というのが変則スイング誕生につながった。

「スイングが注目され、ギャラリーが笑ってくれるのが力になる。皆さんに『虎さん』と呼んでもらえるのが気持ちいい」。この大会でシードに滑り込み、夫人と2人で号泣した1年後の歓喜だった。【亀山泰宏】