比嘉真美子(25=TOYO TIRES)が、故郷沖縄で初の開幕優勝となるツアー5勝目を飾った。第3ラウンドまで2位に7打差の独走態勢に入りながら生みの苦しみを味わい、一時は2打差に迫られた。3バーディー、3ボギー、2ダブルボギーの76。通算5アンダーの283で逃げ切った。日本人では13年森田理香子以来、沖縄県勢では04年宮里藍以来の大会勝利。同じ沖縄出身の新垣比菜(20)が2位に入った。

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折れそうになる心を支えてくれたのは、故郷沖縄の声援だった。2位に7打差をつけて迎えた最終日。比嘉は8番パー3でティーショットを木に当てて3オン2パット、13番パー3でもバンカーから4オン1パット。2つのダブルボギーで崩れかけた。16番の2連続ボギーで、ついに2位と2打差。突然雨が降り出す。ふと視線を上げると、沖縄の人々がずぶぬれになりながら祈ってくれていた。17番のバーディーで優勝を確信。最後は涙がにじんだ。

「この大会で優勝することが夢でした。夢と現実の間をさまよっていた。苦しい1日。とにかく、とにかく、勝ちたかったです」

ゴルフを始めた小学5年の時、大会のボランティアをした。練習場で優勝した不動裕理にボールを運んだのを覚えている。「不動さんが賞金女王だった頃。こんなにスゴイ人がいるんだ」と目を輝かせた。もらったサインは宝物だった。翌04年にも会場を手伝い、地元の宮里藍が優勝。憧れた大会で、沖縄勢としてはそれ以来の優勝になった。

勝利の瞬間、真っ先に母彰子さん(61)と抱き合った。幼少時代に兄を、高校時代には父を亡くしている。苦しんだ末の地元Vに、母は「知人が仏壇に手を合わせてくれていました。喜んでくれていると思う」と目を潤ませた。この日春場所初日を迎えた大相撲の勢と婚約。比嘉は「大切な人が増える」としながらも「ゴルフも全力」と語り、賞金女王と東京オリンピック(五輪)を意識する。

「(五輪は)夢で終わらせるのではなく、しっかりつかみたい。今年、勝ちまくらないと届かない」

飛躍の19年。大好きな沖縄から、最高の第1歩を刻んだ。【益子浩一】

▽比嘉真美子の使用クラブ ▼1W=PING G410 プラスドライバー(ディアマナ DF50、フレックスS)▼FW&UT=同 G410 LST(3番)、G410(4、5番)▼アイアン(5I~PW)=同 i210▼ウエッジ=同 GLIDE2・0 STEALTH(52、56、60度)▼パター=同 VAULT 2・0 CRAZ-E H▼ボール=タイトリスト プロV1