世界ランク日本人最高9位の畑岡奈紗(20=森ビル)が、20歳245日の史上最年少で国内メジャー3勝目を挙げた。

単独首位から出て1イーグル、5バーディー、2ボギーの67で回り通算18アンダーの270。日本人最速プロ17戦目で国内の生涯獲得賞金1億円を突破。大会最少ストロークも更新した。20年東京オリンピック(五輪)のメダル候補が記録ずくめの優勝を飾った。渋野日向子(20)は70で回り、同1アンダーの33位。

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独走の旅は圧巻のバーディーで締めくくった。最終18番パー5。第3打をピンから50センチへピタリと付ける。待ち受けた観衆からは、圧倒的な力を見せた畑岡へのため息に似た歓声が起きた。2位に8打差の完勝だ。アマチュア時代の16年に日本女子オープンを制し、翌17年に2連覇。20歳245日での国内メジャー3勝は、09年に23歳59日で達成した諸見里しのぶを抜いて最年少記録になった。強い、強い、畑岡を証明した。

「日本一を決める試合で、たくさんいい選手がいる中で勝てたのは、すごくうれしい。最終ホールまでドキドキしたくなかったので、どれだけ差が開いても攻めることを意識しました」

反骨心を力に変えた。前半を終え、移動する際。同時間に全ホールを終えた渋野を待つ長い花道ができた。そこを通って10番へ。畑岡の主戦場は米ツアーで国内ツアー参戦は3月の開幕戦以来。今季最多1万3278人の観衆の多くが、国内でなじみのある全英女王の組に付いた。それを肌で感じたのか、後半の15番パー4では、残り70ヤードの第2打を58度のウエッジで直接沈めるイーグル。この瞬間、優勝は決定的になった。

帰国後は茨城県内の自宅で家族だんらんの時を過ごした。愛犬のトイプードル、ステラが5月に1匹だけ子犬を産んでいた。名前はアポロ。心を癒やし、大事な試合に臨んだ。母博美さんは「メジャーに勝ちたいという気持ちが重圧になって、体調を崩した時期もありました」と明かす。常に、孤独と闘っていた。

04年宮里藍の27試合目を抜いて、日本人最速で生涯獲得賞金1億円を突破した。東京五輪に向け肉体改造に着手し、スイング安定のため下半身を強化。「服がキツくなった」と笑う。名前の由来は米航空宇宙局のNASA。日本一から世界一へ。宇宙のように、夢は無限大に広がる。【益子浩一】