賞金女王を目指す渋野日向子(20=RSK山陽放送)が、この日ベストの32をマーク。通算5アンダー、103で6位に入り、トップ申ジエとの差を約600万円に縮めた。

台風19号の影響で、最終日9ホール、しかも史上初の無観客試合という変則開催で攻めの姿勢を貫いた。首位から出た黄アルム(31=韓国)が、スコアを1つ伸ばし、通算8アンダーで今季初勝利、通算5勝目を挙げた。加算される賞金は75%の1350万円。

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後半戦のない9ホール決着で、渋野は攻め続けた。出だしの10番でグリーン外約6メートルからチップインバーディー。続く11番は1・5メートルのバーディーパットを外したが、14、16、18番とバーディーを重ね、4バーディー、ノーボギー。25位から一気に6位に躍進した。

短縮開催で賞金は75%の250万円だったが、首位申ジエとは約600万円差。「かなりトップとの差があって、全部バーディーを取らないと優勝とかできないと思ったから、なるべく順位を上げたいなと思った中で、いいゴルフができた」と手応えを口にした。

台風19号の影響で第2日が中止になった12日、宿舎のホテルで2本の映画を見た。「グレイテスト・ゲーム」と「ボビー・ジョーンズ」といういずれも米国ゴルフ界の偉人を取り上げた伝記映画だった。「4大大会制覇したボビー・ジョーンズさんの勝ち続けるとすごいつらいという発言とか、手が震える瞬間があったという言葉が、わかるなと思った」と話した。

全英女子オープンを制した後、渋野も大事なパットを打つ瞬間に手の震えを実感するようになった。注目度が高まり、勝つことが当たり前と思われるプレッシャー。球聖と呼ばれた先人の言葉に、自分の現状を重ね合わせた。そんなプレッシャーを、渋野は目の前の目標を1つ1つクリアすることではねのける。直近の目標は賞金女王。来週の富士通レディースを休み、台湾開催の米ツアーにも出場するため、残された試合は5試合。「5試合全部上位争いしないといけない」と自分にムチを入れた。【桝田朗】