▽2017年(平29)大会(5月19~21日、愛知・中京GC石野)

背水の上田桃子が、3年ぶりツアー優勝で復活した。不振のパットを次々と決め、8バーディー、1ボギーの7アンダー65。通算16アンダーの200で混戦を制した。国内優勝は14年11月の樋口久子・森永レディース以来で通算12勝目。今季未勝利なら引退を決めていたことを会見で明かし、復活Vに涙を流した。

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上田は、2位からのスタートでパットがさえた。1番から3連続で2メートルのパットを沈め、次々とバーディーを奪う。16番でティーショットが岩を直撃しても、18番で池に落としそうになっても、真夜中に寝ずに練習したパットが救ってくれた。

前夜はほとんど眠れなかった。真夜中に起きては不振のパターを握る。鏡の前に立ち、何度も素振りをした。前年12月に他界した荒川博さん(享年86)の姿が浮かんでは消える。元プロ野球巨人打撃コーチで、王貞治氏に「1本足打法」を教えた荒川さんからはゴルフの指導を受けていた。

恩人の日記に「よく練習をしている」と記された上田だが「やっても、やっても強くなれなかった」。気が済むまでパターを振り続けると、朝になっていた。

1カ月前に故郷熊本であったKKT杯バンテリン・レディースでは、勝利を決めるバーディーパットを外し、プレーオフでV逸。前年の大地震で被災した地元で優勝できず涙に暮れた。14年11月以来の復活優勝。これまでの苦労が走馬灯のようにめぐり、会見では感極まって泣いた。

「ずっと(優勝が)近くて遠かった。極め付きは熊本で勝てなかったこと。あのダメージは大きかった。今年勝てなければ、ゴルフはやめようと思っていました。ケジメをつけないといけないから、周囲の人たちに伝えていました」

熊本で敗れてからは、体調不良で点滴を打ち続けた。気管支ぜんそくでせきが止まらず、救急車を呼ぶ騒動にもなった。「今年1年終わってから、どうなるかは分からない。でも、また頑張れると思える日になりました」。通算12勝目。強い上田がよみがえった。

■過去5年の優勝者

15年 吉田弓美子 -15

16年 鈴木愛 -9

17年 上田桃子 -16

18年 ペ・ヒギョン -13

19年 勝みなみ -14