「ゴルフ流 Education」の第2弾は、18年まで松山英樹プロのエースキャディー、現在はテレビ解説なども務める進藤大典(だいすけ)氏(39)です。中3でゴルフを始め、明徳義塾高(高知)、東北福祉大では選手として、その後はプロキャディーとして国内外で活躍。同時に2児(中2、小3)の父という“現役子育て世代”でもあります。

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現代のジュニア世代はスマホと過ごす時間が長くなりましたね。外出自粛や学校が休校だった期間にあらためて感じました。子どもたちの世界がYouTubeやゲームなど「スマホの世界」に偏りすぎないか、心配する大人も多いはず。そんな中、僕は自分が子どもたちに何ができるのか、考えさせられました。その答えの1つが自分の経験を伝えることでした。

僕はキャディーとして米ツアーを6シーズンほど転戦しました。その生活の中で、米国人の互いにたたえ合う、リスペクトし合う姿勢、ボランティア精神、チャリティー文化などは、日本より根付いていると体感した。そういう独自の実体験を伝え、子どもたちの視野が広がる手助けをしたい。同時に僕の失敗談から学んだり、自分で考える力をつけてほしいのです。

例えば勉強をルーティン化にして家でやらせるのも、1つの方法でしょう。そうすることで、自分が決めたことをやり遂げるようになる効果が期待できます。実際に僕がそうでした。何事も物事が続かない性格でしたが、キャディーをするようになって朝の準備、終わった後には翌日の準備、ストレッチといった体調管理などを習慣化したことで、以前は「めんどくさい」と思っていたことが、「それをやらないと気が済まない」となったのです。

学校での勉強は反復学習や暗記になりがちです。でも、社会に出て求められるのは能動的に考えて動くこと。もちろんテストの点が悪いよりはいい方がいいに決まっています。ただそれだけでは、コンピューターと変わらない“指示待ち人間”になってしまう懸念があります。自分で考え、それを信じ、失敗から学び、自分で自分の人生を切り開けるような大人になってほしいと思います。(進藤大典)

◆進藤大典(しんどう・だいすけ)1980年(昭55)生まれ、京都府出身。東北福祉大では宮里優作、岩田寛らと同期。宮里に誘われてキャディーを始め、03年プロキャディーに。宮里のほか、谷原秀人、片山晋呉らのバッグを担ぐ。13年から18年まで松山英樹と専属契約、13年日本ツアー賞金王、その後の米ツアー5勝に貢献。現在は解説やイベントの事業が中心。4月に「ゴルフキャディ 世界で闘うために…」(主婦の友社)出版。