18年まで松山英樹プロのエースキャディーを務めた進藤大典(だいすけ)氏(40)による「ゴルフ流 Education」第2弾も、今回で一区切りです。現在はテレビ解説に加え、ジュニア・クリニックなどにも携わり、私生活では2児(中2、小3)の父という“現役子育て世代”。将来を担う子どもたちが、夢に向かって進めることを願って、メッセージを送ります。

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僕が今回の連載を通じて強く伝えたいのは、ジュニアには「自分で考える力」をつけてもらいたいということです。目標を持って、そのためにはどうしたらいいかを考え、「今するべきこと」「今できること」を自分なりに探してほしい。大人は、それをサポートしてほしいです。

例えば、ゴルフで「メジャー大会に勝つ」と目標を掲げたとします。でも「勝ちたい」と思っているだけでは難しい。目標が大きいと、「では、どうすればいいか」も漠然として、モヤモヤしがちです。

トップ選手は、まず出場するためには? 出場権が得られたら、その大会にピークを持っていくため、事前のスケジュールをどうすればいいか? それまでに技術的な課題をどう克服するか? そのために今週は何をすべきか? 今日は何をすべきか…と具体的に逆算。「今するべきこと」に集中します。キャディーも考え方は変わりません。

逆に、将来への不安がある時も似ています。やみくもに「どうしよう…」と思考停止、嘆いたりだけでは、時間の無駄になりがちです。時間は限られているし、環境によってできることも限られています。不安なのは「何をしたらいいかわからないから」という場合が多い。迷った時はいったん立ち止まり、「今、何ができるか」を考えてはどうでしょうか?

現在、新型コロナ感染症の影響で、誰もが不安を抱えていますよね。僕には治療もワクチン開発もできませんが、予防への努力はできます。まずそれを頑張ります。子どもにも「マスクをしなさい」だけでなく、その意義を伝え、考えてもらうようにしたい。ジュニア世代には学業や部活、友人関係、受験など、それぞれの不安があるはずです。本人が「今、何をしたらいいか」を自分で見つけられるよう、寄り添える大人でありたいと思います。(おわり)

◆進藤大典(しんどう・だいすけ)1980年(昭55)生まれ、京都府出身。中3でゴルフを始め、明徳義塾高(高知)-東北福祉大。同大で同期だった宮里優作に誘われてキャディーを始め、03年プロキャディーに。宮里や谷原秀人、片山晋呉らのバッグを担ぐ。13年から18年まで松山英樹と専属契約、13年日本ツアー賞金王、その後の米ツアー5勝に貢献。現在は解説やイベントの事業が中心。4月に「ゴルフキャディ 世界で闘うために…」(主婦の友社)出版。