10月の日本女子オープン覇者、原英莉花(21=日本通運)が、国内メジャー2連勝でツアー通算3勝目を挙げた。首位スタートの最終日を3バーディー、3ボギーのパープレーでしのぎ、通算10アンダー、278。第1日から首位を守りきる完全Vだ。国内メジャー年間2勝は昨年、畑岡奈紗が記録。渋野日向子も昨年、国内のサロンパス杯とAIG全英オープンで“メジャー2勝”した。同じ黄金世代のトップランナーに、原も肩を並べた。

  ◇   ◇   ◇

後続に3打差で迎えた最終18番パー4。難易度1位の最難関ホールで、ドライバーを振り抜いた原がニヤリと笑った。会心の一撃は、左ドッグレッグの曲がり角を越え、フェアウエーへ。打ち上げのグリーンまで、残り約140ヤードと迫るビッグドライブ。「17番のバーディーパットをお先に寄せてホッとした」。予感が確信となった。

同じ国内メジャーでも、日本女子オープンとは「全然違った」という。「あの時はショットに自信があった。でも、今週は全く信頼できなくて…。こんな状態で、この位置で戦えるなんて-と、思っていた」。それでも、勝つ気満々だった。この日朝6時に目覚めると、ブツブツつぶやいた。「寝ぼけながら“呪文”を唱えてました」。大の苦手の優勝スピーチの練習。実際のスピーチはスポンサーなどに感謝の意を述べて「これ以上しゃべるとボロが出ますので…」と簡潔に締めて、逃げた。

不調のショットを、最低限のレベルまで作ってくれたのは、師匠尾崎将司だ。前週の大王製紙エリエールレディースを右膝痛のため第1日で棄権。東京に戻り、千葉の尾崎邸へ。崩れたスイングを見た師匠が言った。「トップがそんな低かったか? ここだよ、ここ」。スイングのテークバックを見せてくれた。原は「鶴の一声って言うんですか? 一瞬で直った。ジャンボさんに『単純なヤツだな』と笑われました」とうれしそうだ。

国内メジャー年間2勝の肩書がうれしい。昨年の畑岡、渋野に匹敵する。「私は昔(ジュニア時代)はショボい実績だし。でも今、ゴルフと向き合って積み重ねていることは同じ」。今年の国内競技を終え、12月10日からは全米女子オープン。次は世界に全力でぶち当たる。【加藤裕一】

◆原の優勝メモ 今大会の日本人優勝は13年の大山志保以来、7大会ぶりで、第1ラウンドから全4日間、首位を譲らない完全優勝は17年のテレサ・ルー以来となる。原は10月の日本女子オープンも制しており、同一年に国内メジャー2勝以上は昨年の畑岡奈紗(日本女子プロゴルフ選手権コミカミノルタ杯、日本女子オープン)に続く史上11人目の快挙。賞金3000万円を加えて、今季獲得賞金を7072万2208円とし、7位だった賞金女王ランキングも笹生、古江に次ぐ3位へと上昇した。

◆国内メジャー年間2勝以上 昨年の畑岡奈紗(日本女子プロ、日本女子オープン)以来15人目(日本勢10人目)。申ジエだけ18年に年間3勝(サロンパス杯、日本女子プロ、リコー杯)を記録している。

<原英莉花の使用クラブ>

▼1W=ミズノ ST200X(シャフト=IMIDE AND SUNSジャンボプロDr改<2> 長さ46・5インチ、硬さSR相当、ロフト8・5度)▼FW=ミズノ ST200(3W=14度、5W=17度)▼UT=キャロウェイ マーベリック(4U=20度)▼アイアン=ミズノ JPX921ホットメタル 5I~PW▼ウエッジ=ミズノオリジナル(48、52、58度)▼パター=オデッセイ トゥーロン SAN DIEGO▼ボール ブリヂストン ツアーB X