渋野日向子(22=サントリー)が2位に3打差をつけ、予選を首位で通過した。各選手が伸び悩む中、2位で出て6バーディー、2ボギーでベストスコアの67。4つ伸ばして通算7アンダー、135とした。昨年のAIG全英女子オープンに続き、日本人初のメジャー2勝目が現実味を帯びてきた。メジャーで最多の19人が出場した日本勢は、渋野や6位の笹生優花ら9人が予選通過。10人は予選落ちとなった。

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スタートから30分足らずで首位に立つと、時流を反映したソーシャルディスタンスかのように、2位との差を広げた。渋野は1番パー5で5メートルのパットを沈めてバーディー発進。伸び悩む周囲をしり目に、第2日最多タイの6バーディーを奪った。終盤16番をボギーとしても17番でバーディーを奪い返し、今大会初めて代名詞のバウンスバック。勢いは衰えなかった。途中にリーダーボードがなく、ホールアウト後に初めて首位と知り「夢かと思った。自分じゃないみたい。ビックリ。今のうちに写真を撮っておきたい」と笑った。

グリーンとの相性が抜群だった。第1ラウンドから5メートル前後のパットが面白いように決まる。「パッティングがここまでいいのは久しぶり。自分でも怖いぐらい。(バーディーを)6個も取れたのは奇跡」。パーオン率も2日間を通じて全体2位の81%。ショットとパットがかみ合っている。この日2つのボギーは雨で手元が狂った8番と、カップに蹴られて不運な3パットの16番。前日は「100点以上」の自己評価だったが、この日は「120点」と、上り調子を実感する。

昨年を振り返り「全英よりもすごくいいゴルフをしている」と成長を感じている。怖いもの知らずで攻め続け、日本人2人目のメジャー制覇を果たしたが、現在は「ちょっとずつ大人になってきている。自分で考えて、内容の濃いゴルフができるようになった」という。バーディーへの近道を模索して戦略的に攻め、守る時は守ることも覚えた。

メジャーを制し「マスクをしていても気付かれることが多かった。なかなか外にご飯を食べに行けない」と、私生活も変わった。声を掛けられれば笑顔で返し「いい人ぶっている気がする」と、突然の有名人生活を不慣れに感じたこともあった。この日はファンに向けて「一番上にいる奇跡を楽しんでいただけるとうれしいです」と語りかけた。紆余(うよ)曲折を経て、自然な笑顔が戻ってきた。