らしさを感じさせる会見だった。第2回オーガスタ・ナショナル女子アマ(3月31日~4月3日、ジョージア州オーガスタ・ナショナルGCほか)で日本人初優勝を果たした梶谷翼(17=兵庫・滝川二高)が23日、母校でオンライン会見を行った。世界のトップアマチュア選手が集う聖地での戦いを制した17歳。すでに完成されつつある技術はもちろん、その言葉の節々からも精神的な強さがうかがえた。

ストイックな一面を感じさせたのは学校生活について問われた時のこと。好きな時間を聞かれると「みんなが静かにしてくれる時間です」と答えた。「授業中とか(周囲が)まあまあうるさいので。(教壇に立つのが)部活の顧問の先生とかだと黙ってくれるけど。静かな時間が好きですね」。授業中は私語などをせず、集中して机に座る。そこには「勉強しに来ているのに、しゃべっていたら意味ないじゃんって思うので。私はそういう無駄な過ごし方をしたくない。授業はちゃんと受けます」という思いがある。

滝川二ゴルフ部の角谷真吾監督は梶谷について「性格はおとなしめで無口で人見知りに見えるが、実はそうじゃない。人なつっこく、自分の意見を言いますし、負けん気が強い、(気持ちを)内に秘めた選手ですね」と語る。日々、努力する姿として、通学前に自宅の周囲を3キロほどランニングしてから登校しているというエピソードも明かした。

梶谷も負けず嫌いを自覚しており「毎朝ではないですが、走りたいなと思った時に走っています」と話した。主将を務める滝川二ゴルフ部については「自由なところがあります。サボればサボった分だけの実力しかつかないし、努力すればそれだけの力がつく。縛りがない分、モチベーション次第で結果が左右される」と語った。自身もコロナ禍などで多くの試合がなくなった昨年の中頃まではモチベーションが低下し「練習をしていなかった」。しかし、それではダメだということに気がついたといい「そのあたりの時間がもったいなかったと思って、すごく後悔しました。3年生は時間の無駄がないよう頑張りたい」と気を引き締めていた。

オーガスタなどの大舞台を経験し、「自我がより強くなった気がしますね」とも話した。「最近の自分と同じ年代の人って、集団で行動して自分の意見を持たずに流される人が多いと思うんですけど、その中でも自分はあまり流されないので。良かったなと思います」。SNSも「やりたいと思ったから」とインスタグラムのみアカウントを開設。ツイッターや若者に人気のTikTok(ティックトック)はやらない。「(流行に乗る)そういうのが嫌いなので、やらないです。自分がやりたいからやりたいので、人がやっているからこうしようとかもないですね」とポリシーを貫いている。

日本人初の偉業を達成した際の部員からの連絡は「何人かだけ。あとは誰もこなかったですね」と明かした。「メッセージを送ってくれた選手とは仲良くしようって思うんですけど、何もない人にはこちらからも何もないですね。そこまで優しくないので」とジョークも飛ばし、大舞台でも動じなかったメンタルの強さを垣間見せた。

梶谷は20日にも日本ゴルフ協会主催でオンライン会見を行っており、この時もプレーオフまでもつれ込んだ最終日について「やったーと思った。18ホール以上回れる。緊張したけど、みんなより多く回れるのはラッキーって」などと語っていた。帰国初戦はこの日までにエントリーを終えた5月12日開幕の関西女子アマ(兵庫・有馬CC)。その後は国内ツアーに参加しながら6月には初の海外メジャー、全米女子オープンを迎える。「予選通過を目標として、頑張ります」。信念を曲げずに、梶谷はさらなる高みを目指していく。【松尾幸之介】