木下稜介(29=ハートランド)が、涙のツアー初優勝を飾った。2位と4打差の首位で出て、4バーディー、1ボギーの68で通算14アンダー、270。2位と5打差に広げ、寄せ付けなかった。これで今大会は最近10度で9人が初優勝。仲の良い同学年の松山英樹、石川遼に刺激を受けて成長しながら、4度目の最終日最終組で頂点に立った。国内メジャー制覇で来季からの5年シードを獲得した。

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幕切れを待てずに、木下の目から涙があふれ出していた。ツアー本格参戦から8年目。最終18番パー4のバーディーパットを50センチに寄せた時点で、2位古川とは6打差だった。「本当に長くて苦しくて。最初のパターを打ってホッとして、涙が出てしまいました」。ウイニングパットを沈めると、両手を突き上げて天を仰いだ。「今日勝てないと、もう勝てないと思ってプレーした。初優勝が遠くて、呪縛じゃないけど勝つまで苦しかった。やっと荷物を下ろせた」と笑った。

緊張から午前4時に目が覚めた。約6時間半後、出だしの1番でティーショットを右の林に打ち込んだ。優勝に近い3人で回る最終日最終組は4度目。「またか…」。暗雲が漂った。だが「奇跡的に前が空いていた。ついているとしか言いようがない」と、惜敗続きの木下にようやく運が味方した。波に乗り、残る17ホールは快調にプレーした。

松山、石川には「常に比較されてきた。でも同学年でよかった。刺激をもらえた。レベルは違いすぎるけど1歩だけ近づけたかな」と感謝した。座右の銘を問われ「日々努力。練習しかない。オフでもクラブを握る」と即答。賞金ランキングは星野に次ぐ2位に浮上した。「目標は今季あと2勝して賞金王。(出場権を持つ)全英オープンでトップ10」。呪縛が解け、夢は広がった。【高田文太】

◆木下稜介(きのした・りょうすけ)1991年(平3)7月16日、奈良県生まれ。10歳でゴルフを始める。香川西高3年時に全国高校選手権2位。大阪学院大4年時に朝日杯日本学生選手権優勝。14年にプロデビューし、7戦目で2位。18年に下部ツアーで初優勝。174センチ、75キロ

<木下稜介の優勝クラブ>

▼1W=ブリヂストン ツアーB XD-3プロトタイプ(シャフト=フジクラコンポジット プロトタイプ、硬さX、ロフト9・5度、長さ45・25インチ)▼3W=ナイキ ヴェイパー スピード フェアウエーウッド(15度)▼5W=ブリヂストン ツアーB XD-Fフェアウエーウッド(18度)▼3UT=同ツアーB X-HI▼アイアン=4I~PW=同ツアーB X-CB▼ウエッジ=タイトリスト ボーケイSM8(52、58度)▼パター=オデッセイ トライホット3iXプロトタイプ▼ボール=ブリヂストン ツアーBX。