永久シード保持者で大会最多4勝を誇る片山晋呉(48=イーグルポイントGC)が7位で決勝ラウンド(R)に進んだ。出場22度目で予選落ちなし(棄権1)とコースを知り抜く“ABC男”はこの日、4バーディー、2ボギーの70で通算7アンダーとし、スタート前の首位との2打差をキープ。16年大会以来となるツアー通算32勝目へ、絶好の位置で折り返した。

ABCGCの攻め方は、誰よりも知っている。最終9番パー4。片山が残り180ヤードの第2打を6番ユーティリティーでピン前1メートルにつけ、バーディーで締めくくった。

ツアー屈指の高速グリーンはこの日、スティンプメーターで13・75フィートだった。出場9度で09年には4位になったマスターズの“ガラスのグリーン”を知る身で「今日の朝はすごかった。オーガスタ? 全然! 世界一速かった」とこぼしたグリーンを長尺パットのタッチと、絶妙なバンカーショット、アプローチで攻略し、スコアをまとめた。

「もう自分を追い込まないことにしてる。自分に合ってる、ハマるコースに絞って優勝争いをって感じです」。来年12月に米シニアツアー予選会挑戦も視野に入れる。20年以上、ドライバーの平均飛距離を維持している自負はあるが「20年前は20~30位だったのが、今は60位前後ですよ」。若さに太刀打ちできない部分は自覚する。

ABCGCでは、そんなベテランが“本気”になる。「技術がいる。グリーンが高速。飛ぶだけじゃダメ。経験が必要」。勝負できる舞台だ。刺激的なニュースもあった。新庄剛志氏の日本ハム監督就任-。1学上で親交がある同氏に「同級生がね。最高でしょう。自分たちの世代が盛り上げなくちゃ」と負けていられない。「僕たちはそういう年齢だけど、ゴルフはまだ現役で頑張れる。そこは誇りに思っています」。5年ぶり5度目の大会制覇となれば、ツアー通算32勝目。「大好きなABCで戦える。うれしいね」。首位から2打差に14人がひしめく混戦で、48歳が元気いっぱいだ。【加藤裕一】