女子ゴルフの西村優菜(21=スターツ)が、エビアン選手権(7月21~24日、フランス)、AIG全英女子オープン(8月4~7日、スコットランド)の両メジャー出場を即決した。国内女子ツアー、資生堂レディース開幕前日の29日、会場の神奈川・戸塚CCで最終調整。前日28日未明に発表された最新世界ランキングで38位となり、50位以内が資格を得る両メジャーの出場権を獲得した直後、出場を明言した。メジャー、そして将来の米ツアー参戦へ、思いの強さを示した。

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迷いはなかった。練習を終えた西村は、エビアン選手権、全英女子オープンの出場資格を得たことについて問われると「行きます」と即答した。全米女子オープンは20年と今月の2度出場経験があるが、欧州では初のメジャー。コース内外で不便があることは承知の上だが「すごくうれしい」と、世界最高峰に挑戦したい気持ちの方が上回った。

吉報は前日に届いた。最新世界ランキングで前週よりも4ランク上げ、畑岡、笹生、西郷、稲見、古江に次ぐ日本勢6番手の38位。39位の渋野を1ランク上回った。2週間前のランキングでは49位だったが、その後の2週間は、国内ツアーで優勝、2位と好成績を収めて勝ち取った。「正直、半分ダメかなという気持ちと、でも行きたいという気持ちがあった。あと2試合しか残っていない中で決められた」。ツアー通算5勝のうち、3勝目までは最終日の逆転。“逆転の西村”の異名通りに、土俵際での勝負強さは健在だった。

特に出場を熱望していた全英女子オープンは今年、初めてミュアフィールドで開催する。男子の全英オープンが16度も開催された超名門コースで、女子では初開催。「下が硬いと思うので、それに合わせてウエッジを作ってもらったりクラブの調整をしている」と、すでに準備を開始した。

今週、来週と国内ツアーに出場後、大会のない2週間後、フランスにわたる。両メジャーの間に行われるスコティッシュ・オープンは、推薦などで出場を目指す3~4週間の遠征。暑さが増す国内では「去年は夏に食べられなくて体重が落ちた。食事の回数を増やすとかして、体重をキープしたい」と、ベストの49キロから、44キロまで5キロも減少した昨年の教訓を生かす。

過去2度出場のメジャーはともに予選落ちだが、米ツアー参戦への思いは人一倍だ。色白の肌を保っているのも、体調管理の一貫だが「30歳になった時のために(笑い)」と、冗談交じりにシミ対策だと強調。気持ちの高ぶりと冷静さを併せ持ち、欧州での第1歩を踏み出す。【高田文太】

 

○…最新世界ランキングで24位の稲見萌寧と48位の山下美夢有も欧州でのメジャー2大会の出場資格を得たが、出場については西村を含めた3人とも違う答えとなった。稲見は「目標は永久シードなので、そこまでは国内で」と、両大会とも不参加の意向を示した。国内ツアー通算30勝で得られる永久シード獲得を最優先に考え、現在の通算11勝から上積みを目指す。山下は3週間前の宮里藍サントリー・レディース優勝で、すでに出場資格のあった全英女子については、かねて出場の意向

を示していた。その意向はこの日も変わらなかったが、新たに得たエビアン選手権は「たぶん出ないと思う」と話した。

 

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