藤田さいき(36=チェリーゴルフ)が逆転で11年富士通レディース以来、11年35日ぶりのVとなる通算6勝目を挙げた。首位に1打差の2位で出て、4バーディー、ノーボギーの67で回り、通算21アンダー、263。

88年ツアー制施行後、10月の三菱電機レディースで優勝した金田久美子の11年189日ぶりに続く、歴代2位のブランクV。また、前年大会で原英莉花が樹立したパー71での72ホール最少ストローク記録「17アンダー、267」を4打更新した。

単独首位で出た鈴木愛は1打差の2位。菊地絵理香が5打差の3位に入った。

すでに年間女王を決めた山下美夢有は11位。前年覇者の原英莉花と8月の全米女子アマチュア選手権を制した馬場咲希は15位だった。

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藤田は約1メートルのウイニングパットを決めると、しゃがみこんで涙をぬぐった。同学年の横峯さくらら仲間が出迎え、ハグを交わした。11年ぶりの優勝。「とても長かった11年だった。一言で言えないが、素直にうれしい」と喜びをかみしめた。

13番パー4でバーディー。初めて単独首位に立った。優勝のカギに挙げたのは2位の鈴木に1打差をつけて迎えた16番パー3。ティーショットはグリーンに乗らず、ラフからのアプローチを4メートルに寄せてナイスパーセーブした。

2位に終わった6月の宮里藍サントリーレディースでは体力が残っておらず、18番グリーン上でパターを抱えたまま尻もちをついた。「今回は体重を支えられる体力は残っていた。大丈夫です」と照れ笑いした。

今季2位が3回。「自滅じゃないけど、自分でボギーを打って、優勝に届かなかった。パープレーでスコアを落とさないよう、着実に」。堅実なプレーで、この日ノーボギーで回った。

11年の間、子宮頸(けい)がんなどの病気や手術も経験した。「ゴルフができる喜びだけをかみしめてやろうとやってきました」。最もつらかったことは「シードを落として、QTに行った時は苦しかったが、乗り越えたら自分の中で変わるんじゃないかと。頑張ろうと思った。ほぼ苦しかった。この瞬間のためだけに頑張ってきた」と振り返った。

今大会は10月に亡くなった橋本道七三(みちひさ)さんがキャディーを務める予定だった。「後半戦はほぼお願いしていました。池に入りそうなショットも我慢した。見守ってくれていると思った」。恩人にささげるVにもなった。

11年11月に結婚。結婚後初Vにもなった。夫の和晃さん(37)も会場で見守った。藤田は「2人で優勝目指して頑張ろうとやってきた。苦しくてつらくなった時も『大丈夫、大丈夫』と言ってくれた。一番近いところで支えてくれた」と感極まって涙ぐんだ。

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