<男子ゴルフ:ANAオープン>◇最終日◇16日◇北海道・札幌GC輪厚C(7063ヤード、パー72)◇賞金総額1億1000万円(優勝2200万円)

 藤田寛之(43)が3日目2位から逆転で今季3勝目、ツアー通算14勝目を挙げた。終盤通算16アンダーに4人がならぶ混戦になったが、池田勇太(26)金亨成(韓国)カート・バーンズ(オーストラリア)が最終18番でボギーとし、藤田が通算16アンダー272で優勝。今季獲得賞金を9362万円とし、賞金ランク1位に躍り出た。池田は3週連続の2位。石川遼(21=パナソニック)は通算11アンダーで13位に終わった。

 10年分のこだわりが「予想外だった」優勝に導いた。17番パー5の第2打地点に向かう藤田は「狙わないと決めていた」という。「狙いましょう」という梅原敦キャディーと押し問答。02年、尾崎将司と優勝争いし、17番第2打で左の林越えのショートカットを狙ったが越えられず、尾崎の最年長ツアー優勝を演出した苦い思い出があったから。ボールの所に来てやっと、踏ん切りがついた。

 グリーンまで246ヤードの左林越え。3番ウッドを手にした。「この10年で成長したと感じられた」と、今回は左林を越えた。上がりすぎてグリーン右手前の林の入り口まで突き抜けたが、そこから「地味にナイスショット」のアプローチでパーをセーブ。苦い思い出に決着をつけた。

 通算16アンダーで4人がならぶ混戦。最終18番で10メートルに乗せた時には、バーンズ、池田が落としており、続いて同組の金亨成もボギーが確定。「緊張でヘッドが震えていた」という第3打を30センチに寄せた。それでも「あまりに展開が急で、キャディーに『入れたら優勝か?』と、初めて第三者に確認した」という。

 今季3勝目で、賞金ランク1位に躍り出た。「いいことずくめで気持ちがいいけど、今は世界ランク50位以内(現在78位)に入ることに興味がある」と、マスターズ出場権獲得を目指している。11年初出場で予選落ちしたが「メジャーに多く出て、国内でもっと強くなりたい」という。通算14勝中、8勝が40歳以降の遅咲きだが、まだまだ伸びしろに期待できる。

 世界ランクアップのためにも、日本オープン(10月11~14日、沖縄・那覇GC)が大きなターゲットになる。「取りたいと公言しているし自分はふさわしいゴルファーだと思っている」。自信があふれていた。【赤坂厚】