「ラグビー好き著名人に語ってもらう」第2回は、俳優の山下真司。84年に放送されたドラマ「スクール☆ウォーズ」で弱小高校を全国優勝に導く熱血監督を演じた。その後ラグビーに興味を持つようになり、35年たった今でもその思いは画面の中と同じように熱かった。

ラグビーボールを手に力強い表情を見せる山下真司(撮影・横山健太)
ラグビーボールを手に力強い表情を見せる山下真司(撮影・横山健太)

山下が一番印象に残っている試合は15年大会の日本-南アフリカ戦だ。映像を見ると、スクール☆ウォーズのシーンがダブるという。

山下 選手は本当に死ぬかもしれないという覚悟で戦ったと思う。(モデルとなった伏見工高の)山口良治先生の教え子が日本代表になっていたりもするので、見ていたらドラマのシーンがよみがえってくる。実際に教え子が活躍しているような錯覚に陥るのが自分にしかできない楽しみ方。

ドラマでは「今からお前たちを殴る!」というシーンが有名。

山下 当時はラグビー部員に話を聞きにくかった。自分たちは偽者で「違うよ」と言われそうで、会うのも避けてました。山口先生も実際にぶっ飛ばしたのは1度だけで、練習の方が厳しかったみたい。

今では“体罰”になってしまう行為だが殴る意味を教えたかったという。

山下 あしき習慣といえばそれまでだが、根性を入れるという意味で心に戒めるのが目的。それがなくなり、日本のスポーツ界も変わってきたが、尊敬心という意味では今も昔も変わらない。接し方も変わり、勘違いする子どもが増えた。大人が教育しなければいけない。甘やかしとフランクに接するのとは違う。

ドラマでラグビー人気に火を付けた山下は、魅力を語り出したら止まらない。

山下 もともとは3K(きつい、危険、汚い)と言われていたが「One For All、All For One」という言葉にあるように感動、絆、感謝(3K)があるスポーツ。社会人としても通用するメンタリティだし、人間形成には最高。それぞれが役割をこなして1つのトライを15人で取りにいく。ファイターのような武士の魂を持っていてかっこいい。オールブラックスのハカも命懸けな心を感じる。

日本代表の試合は会場にもよく見に行く。前回の活躍で期待も高まる。

山下 リーチは英語もできて選手とコミュニケーションも取れる。小さい体で2メートル級の選手に立ち向かう田中などいい選手がたくさん。日本も8強以上の実力はある。前回の五郎丸のようにスターが出てきて欲しい。子どもたちが盛り上がるし、みんな求めている。

スクール☆ウォーズで生まれたラグビーとの縁。自国開催に自身も積極的に広報活動を行っていく。

山下 4年に1度の世界が注目する大会なのに、ガラガラのスタジアムを見せるわけにはいかない。まだまだ働き掛けが少ないと思う。ドラマから30年以上たっているけど、40代、50代の心にみんな残っている。ラグビー熱がないわけではない。心の中にある熱いものを見せて、知らない人に興味を持ってもらいたい。そのためには何でもやる。

山下は「スクール☆ウォーズ世代」のラグビー熱を再燃させ、全国民とともにワールドカップ(W杯)を盛り上げ、日本のドラマチックな勝利を願っている。【松熊洋介】

◆山下真司(やました・しんじ)1951年(昭26)12月16日、山口県下関市生まれ。下関商卒業後中大文学部入学。文学座付属研究所卒業後劇団NLTに入団。79年の「太陽にほえろ!」にレギュラー出演。84年熱血教師役を演じた「スクール☆ウォーズ」が最高視聴率20%を超すヒット。その後も「ケータイ刑事」シリーズや「食いしん坊!万才」などドラマやバラエティー多方面で活躍中。