第78回東京箱根間往復大学駅伝競走：2002年１月２日（往路）３日（復路）

順大・岩水出場微妙…Ｖ２へ不安

　岩水故障−。先月１７日、信じたくない知らせが順大を襲った。３０００メートル障害代表として世界陸上を戦ったエースは、その日を境にグラウンドから消えた。同２７日、岩水は自ら、右臀部（でんぶ）の肉離れと明かした。その２日後、復路の９区に登録された。１日でも多く回復に努めるため、予定していた２区は、同期の奥田真一郎に任された。

　仲村監督は、前向きに話す。「疲労が取れて、試合で好結果が出ることもなきにしもあらず。大なり小なり、どこの大学もアクシデントがあるもの」。岩水自身も「自分のタイプからして、痛みさえ消えれば、試合できっちり走れると思う」と話した。危機的状況に変わりはない。だが、絶望はしていない。

　岩水、奥田に加え、野口英盛、入船満、坂井隆則の４年生５人は「クインテット」と呼ばれる順大の看板。野口主将は「４年生が岩水の分までという感じになった」と話し、入船は「岩水のせいで負けたと言われたくない」と決意を表した。エースの故障は、確かに痛い。一方で、個々の関心はチームに向き、結束をもたらした。

　補欠にエントリーされ、当日はどこかに投入される坂井は「この戦力で優勝したら、のちのちにもいい歴史として残る」と予測した。３季前、山梨学院大、駒大、神奈川大の「ＹＫＫ」が３強といわれる中、優勝をさらった。前評判を覆す伝統こそ、順大の強み。「マジック」と呼ばれるさい配も光る。駒大は強い。だが、何が起こるか分からないのが、学生の駅伝。歴史を引き継ぐ選手たちは、簡単には引き下がらない。【佐々木一郎】

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