<全日本クラブ野球選手権:水沢駒形野球倶楽部1-0北九州市民硬式野球クラブ>◇2日目◇5日◇1回戦◇埼玉・西武ドーム

 社会人野球も、みちのく旋風だ!

 水沢駒形野球倶楽部(東北・岩手)が北九州市民硬式野球クラブ(福岡)を破り、8年ぶりの全国勝利を挙げた。佐藤功也投手(24)が4安打完封で「スミ1」を守りきった。ブルーズヨシフォレスト(東北・青森)は、優勝候補のガッツ全栃木野球クラブ(北関東)に7-6で逆転勝ち。東北勢は3チームが8強入りした。

 最後の打者を三振に打ち取ると、佐藤功は両手を大きく広げ、ほえた。熱のこもった130球で、初回に奪った虎の子の1点を守りきった。「直球が走らず変化球の切れも、いまひとつだった」。6四球は反省材料だが、我慢の投球で自身の全国初勝利と、チームの8年ぶり全国1勝を手繰り寄せた。

 愛娘のためにも勝ちたかった。まだ1歳10カ月の次女真奈ちゃんが8月28日、心臓の手術を受けた。生まれつきの病気で血液の酸素濃度が少なく、これが2度目の手術。「(9月)1日に手術の予定だった。それが早まったので本大会に来られた」と佐藤功。自宅のある奥州市から盛岡の病院に通う日々が続き、満足な練習はできなかった。

 それでも、手術が無事成功した日から千珠子夫人(28)の協力を得て「野球に頭を切りかえた」と話す。真奈ちゃんは人工血管を付けているため、成長とともに手術をしなければならない。小さな体で必死に病気と闘う愛娘に「勝ちましたと伝えたいです」と、涙はなく強いパパを演じた。

 及川正勝監督(60)も「気迫を感じた。代えるつもりはなかった」と、たたえた。真奈ちゃんには、まだ自分が野球をする姿を見せたことがない。「何か頑張っていたというのを娘の記憶に残したい。だから投げられなくなるまで投げるつもりです」と佐藤功。頑張った証しを優勝旗という形にして、将来、愛娘に見せることが目標だ。【三須一紀】