<高校野球・春季宮城県大会:東北7-2仙台育英>◇26日◇決勝◇クリネックススタジアム

 決勝は東北が7-2で宿敵仙台育英を破り、3年ぶり23度目の優勝を果たした。

 新生・東北ナインが、県王者に上り詰めた。先発のエース佐藤朔弥(3年)が7回を8安打1失点と粘投すれば、打線は11安打で7得点と効率良く加点。ライバル校を破ったナインは、笑顔とハイタッチで健闘をたたえ合った。

 我妻敏監督(27)は「相手が育英さんとは意識せず、野球ができる喜びをかみしめながらプレーできた」と勝因を話した。昨秋、部内暴力事件により県大会出場を辞退。高野連からは6カ月の対外試合禁止処分を受けた。監督交代によりコーチから就任した若き指揮官は「お前たちは野球をする前に負けたんだ」と、私生活の更生から取り組んだ。活動自粛中はドキュメンタリー番組のDVDを見せ、人をいたわる気持ちや感謝の心を再認識させた。

 選手も行動で成長を示した。前日25日の我妻監督の27歳の誕生日に、ナインはサプライズでケーキと花を用意。小遣いを出し合って購入した、おニューのDVDプレーヤーもプレゼントし、この日の勝利を約束したという。

 次はみちのくのライバル校に挑む。鈴木翔主将(3年)は「感謝の気持ちを忘れないで、全力で戦いたい」。生まれ変わった東北ナインが、ひたむきに白球を追い掛ける。【由本裕貴】