<センバツ高校野球:関東一1-0別府青山>◇27日◇1回戦

 狙うはパーフェクトだった。6回。打球が一塁手横を抜けたと認めると、関東一(東京)中村祐太投手(2年)のポーカーフェースが一瞬崩れた。「意識してたので。あー打たれちゃったって」。5回まで1人の走者も許さない、2安打無四球完封。5者連続含む13奪三振と、派手なデビューで1点の援護を守った。

 配球は9割直球。先輩捕手のサインに首を振りまくる、ちょっとナマイキな2年生エースだ。最速139キロと速さはない。だが、楽天吹石チーフスカウトが「伸びるから空振りが取れる」という直球を「裁縫が得意」という器用さで外角に落とす。強肩は、ソフトボール投手でならした母朱美さん譲りだ。昨秋の東京大会決勝では、強打の帝京打線を1安打完封した。

 実は「ビッグ3」の愛工大名電・浜田に憧れている。秋の神宮大会で1点差で投げ負けたのだが、開会式ではちゃっかり2ショット写真をおねだり。浜田の初戦14奪三振完封をテレビ観戦し、「自分も」と発奮していた。そして、そっくりの紫のユニホームで同じ完封劇をやってのけた。

 関東一のセンバツ勝利は、準優勝した87年以来という吉兆だ。準決勝では浜田との再戦も可能。「次の目標は…、1安打完封ですかね」。本気か冗談か分からない中村の伸びしろは、底知れない。【鎌田良美】

 ◆2ケタ奪三振の無四死球完封

 関東一・中村が記録。大塚(九州学院)浜田(愛工大名電)に次いで今大会3人目。2年生では「怪童」こと尾崎行雄(浪商)が61年1回戦の日大二戦、2回戦の明星戦でマークして以来、大会51年ぶり。王貞治(早実)も2年生の57年に柳井戦で記録している。