今や世界的なスーパースターとなったドジャース大谷翔平は、いつしか「ショー・タイム」「ユニコーン」のニックネームで呼ばれるようになりました。「打撃の神様(川上哲治)」「ミスター(長嶋茂雄)」「怪物(江川卓)」をはじめ、選手にニックネームを付けることは、日本メディアの専売特許のような印象もありましたが、実は米国のメディアやファンの方が歴史も古く、熱心なのかもしれません。

「二刀流」の元祖としても知られるベーブ・ルースの本名は、実は「ジョージ・ハーマン・ルース」。「ベーブ」はあくまでもニックネームで、童顔だったことから「ベイビー」をもじった「ベーブ」と呼ばれるようになりました。このほか、日本で「球聖」と呼ばれるタイ・カッブは「ジョージア・ピーチ」、ルー・ゲーリッグの「アイアンホース」のなど、いずれも尊敬と親しみを込めて呼ばれるようになったようです。

近年でも、ニックネームが浸透した名選手は数多くいます。

「鉄人」=カル・リプケン 

「ロケット」=ロジャー・クレメンス

「ビッグ・ユニット」=ランディ・ジョンソン

「ザ・プロフェッサー」=グレッグ・マダックス

「ビッグ・パビィ」=デービッド・オルティス

数え上げるとキリがありませんが、日本人選手もニックネームで呼ばれたり、活字で表記されることが増えました。

「トルネード」=野茂英雄

「ウィザード(魔法使い)」=イチロー

「ゴジラ」=松井秀喜

「Dice-K」=松坂大輔

DeNAからカブス入りした今永昇太は、入団発表の際、ジェド・ホイヤー編成本部長から「投げる哲学者」と紹介されました。米国メディアからその理由を問われると、真剣な表情で答えました。

「自分の武器は、まだ未完成であると思っているところだと思う。自分を高みに持っていくために、日々勉強して、それは野球でも、野球以外でも、米国の私生活でも、日々勉強。そういった向上心を常に持ってやってきたことが、そういうニックネームにつながったのかもしれないです」

ニックネームで呼ばれるのは、それだけの成績を残すだけでなく、個性的でユニークなキャラクターがあるからでしょう。今永に限らず、ニックネームがファンの間で浸透するかどうかは、グラウンド上での結果次第と言えそうです。【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「四竈衛のメジャー徒然日記」)