メジャーに君臨する「野球の神様」の背中が見えた。マーリンズのイチロー外野手(41)が、代打でメジャー通算2870安打目となる中前打。ベーブ・ルース(元ヤンキース)が持つ歴代42位の2873安打まであと「3」とした。

 「70’sナイト」と銘打たれたホームのブレーブス戦で、マ軍でただ1人70年代生まれの男が気を吐いた。イチローは4試合連続でスタメンを外れたが、1点差を追う6回2死走者なしの場面で代打出場。ブ軍先発タランと対戦し、カウント2-0からの3球目91マイル(約147キロ)速球を捉え、球足の速いゴロで投手の足元を抜いた。1番ゴードンの安打で三塁に進み、同点のホームを踏む機会を狙ったが、後続が倒れた。レドモンド監督は「チャンスは多かったが、そこで1本出ていれば楽な展開だったが…」とイチローらがつくった好機を生かせず、惜敗を残念がった。

 イチローは正左翼手イエリチが故障者リストから復帰した8日以来、先発出場したのは7試合で1試合にとどまっている。だが、いずれも代打ながら2試合連続安打。限られた出場機会でも安打数を着実に積み上げており、ルースが22年を要した安打数に、15年で並ぼうとしている。

 チームは14日がオフだったため、選手たちの休養は十分。イチローもしばらくは代打出場が続くことになりそうだが、先発出場なら一気にルースに並ぶことも可能だ。この日、打席では誰よりも大きな声援を受けた。熱心な地元ファンの前で、記録を塗り替える日は確実に近づいている。(マイアミ=佐藤直子通信員)