【サンフランシスコ(米カリフォルニア州)=佐藤直子通信員】ジャイアンツ青木宣親外野手(33)が球宴ファン投票で大躍進した。大リーグはオールスター戦(7月14日・シンシナティ)ファン投票のナ・リーグ第4回中間結果を発表。上位3人が選出される外野手部門で、前回まで4位につけていた青木が299万5899票を獲得し、スタントン(マーリンズ)を抜いて初めて3位に浮上した。日本選手では10年のイチロー以来となるファン投票での球宴出場が、夢物語ではなくなってきた。

 スーパースターが上位を占める外野部門で、青木が選出圏内の3位に浮上した。本塁打、打点で両リーグトップのスタントンを逆転し、約7万票の差をつけた。球宴でナ・リーグを指揮するジ軍ボウチー監督は14日、ファン投票で大健闘する青木について聞かれ、豪快に笑いながらこう答えていた。「ノリがスタントンを抜いたら、ホームランダービーにも出場しないとダメだろ」。このジョークが現実味を帯び始めた。

 追い風は吹いている。サンフランシスコは野球熱が高く、13年にはジ軍から3選手がファン投票で選出された。移籍1年目で1番打者として定着し今季リーグ5位の打率3割2分3厘をマークする青木は、地元のファンにとってイチ押しの選手に違いない。また、古巣の影響も大きい。前日15日のア・リーグ中間発表で、ロイヤルズ勢が全部門で1位を独占。昨季29年ぶりのワールドシリーズ進出に貢献した青木の人気は、移籍後も衰えていない。

 主流のインターネット投票は両リーグに投じることのできるシステムのため、ロ軍のファンはリーグの異なる青木に1票を入れるケースが多いという。2つの都市から熱い声援を送られる青木は「去年カンザスでプレーできたことで、こういうふうにいい形でまたファンと向き合えている。そういうのが自分の励みにもなりますね」と、満面の笑みを浮かべた。

 この日、ここまでホームで9連敗していたジャイアンツはマリナーズに快勝し、6月に入り本拠地初勝利を挙げた。青木も初回に3試合連続安打となる中前打を放った。ファン投票選出圏内に入っても、浮かれることなく「毎日、一生懸命やっていきたい」と、気を引き締めた。17日の相手先発は「キング」の愛称で知られるサイ・ヤング賞右腕のヘルナンデス。「いい投手を打って弾みをつけたい」と意欲を燃やしていた。