<イチローインタビューその1>

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の激闘があった。張本勲の3085本を超えた。そして大リーグ史上初の9年連続200安打のハイライトがあった。マリナーズ・イチロー外野手(35)が、過酷だが収穫の多かったメジャー9年目を振り返る。

 -今季のレギュラーシーズン終了後、体を動かし始めたのはいつ。

 イチロー

 グラウンドに出たのは3日後でした。ただ家では2日と我慢できなかったですね。(オフの)1日目もバットを握りかけたんですが、さすがに今日ばかりは、と強い意志でやめました。

 -WBCがあり、2月半ばから過酷な戦いが続いた。それでもすぐ動きたくなる。

 イチロー

 体が本能的に“動きたい”と訴えてくる。だったら動けばいいんですよ。僕が休ませたいと思うのはほとんどが気持ちの部分。精神的な圧迫のない状態で体を動かすことは本当に気持ちがいいですよ。

 「張本超え」は4月16日のエンゼルス戦。通算安打数で日本選手の頂点を極めたイチローは、このとき「すごく晴れやかでいい景色」と語った。今季は、新たな領域に1歩目を踏み出した実感があったのではないか。

 -昨季終了後、打撃感覚と結果が一致しないと語った。今季はこの点に関してはどうか。

 イチロー

 146試合で225本。一致しなかったら不可能でしょう。

 -打撃について、昨年までと違うのは。

 イチロー

 (WBCの)東京ラウンドまで、頭で考えて形(打撃フォーム)を修正していたのですが、シーズンに入ってからそういう行為は一切なかった。すべては体が“こうなりたい”というところから形が変わっていった。体の要求に自然に委ねた方が頭で考えることより強い、という実感をあらためて持ちました。(WBCの)最後の最後、韓国との決勝ではそれに近かった。体に委ねて、最終的に大きなヒット(決勝打)が出た。

 -年間最多安打新記録を打ち立てた5年前にもそんなことはなかった。

 イチロー

 2004年はまず頭で考えたものが(ベストの感触と結果に)一致したまでです。体に任せてそれが生まれたわけではありませんでした。(続く)